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数時間後、秋本さんのダメージコントロールは成功した。
正常な呼吸と頻脈を保っている。
でもそれに比べて藍沢先生は……
消えたいと願った秋本さんは助かってそれを助けようとした、生きたいと願っているはずの藍沢先生はまだ目を覚まさない。
運命は残酷だ………
その夜も名取先生は藍沢先生が目を覚ますのをICUで待っていた。
「今日は上がっていいわよ」名取先生にそう声を掛けようと私もICUに足を踏み入れたけどまだ目を覚まさない藍沢先生を前にして静かに涙を流している名取先生をみて私は声をかけるのをやめた。
名取「俺……藍沢先生を見てここで頑張ろうって決めたんです。やっと一歩踏み出せるようになったんです。もっともっと藍沢先生に教えてもらいたいこと、聞きたいことがいっぱいあるんです。目を覚ましてください……」
名取「藍沢先生……」
少しも動かない、すっかり血の気を失ってしまった藍沢先生に声をかけ続ける名取先生。
普段あんなに感情的になった彼を見たことがなかったからこそ衝撃的だった。
名取先生のなかであんなに藍沢先生の存在が大きかったんだと。
思い出してみればことあるごとに藍沢先生の近くには名取先生がいた。
密かに慕ってたのね。
ヘリが汚染されたあの日。
名取「今日、藍沢先生に処置で一回も怒られなかったんですよね……いつも怒られてばかりで……今日翔北に戻ったら藍沢先生にもっと処置について、藍沢先生の専門である脳について詳しい話を聞こうって思ってたのに……俺…藍沢先生をみて、藍沢先生にあこがれて…親父の反対を振り切ってやっとここで頑張ろうって決めたのに……」
そう言っていた名取先生。
「人は人から必要とされないと生きていけない」そう言って誰より必要とされなくなることを恐れていた藍沢先生。
藍沢先生は自分が思っている以上に必要とされている。
本当に羨ましいくらいに。
だから…早く目を覚まして……
そう願いながら藍沢先生の事は名取先生に任せて私は医局に戻った。
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名取side
秋本さんのダメージコントロールの治療が行われた夜。
俺は今日も藍沢先生の眠るICUにいた。
藍沢先生の隣のベッドの秋本さんは正常な呼吸と頻脈を保っている。
それに比べて……と藍沢先生のモニターを見ると呼吸状態を示すグラフに変化が生じた。
大きな波形が続けざまに表れ出した。
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明日香 - RULIさん» コメントありがとうございます!更新が中々出来ず、その上長くなってしまい申し訳ないです。ただてさえ長いのにまだ長くなりそうですが頑張って書いていきますので引き続きご愛読頂けると嬉しいです。 (2019年8月2日 7時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
RULI - リクエスト、受け取って下さり、ありがとうございます、とても面白いです!流石だなと、おもいました!頑張って下さい! (2019年8月1日 20時) (レス) id: 8fa7ebfbfe (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - ハートさん» コメントありがとうございます。読者の皆さんの応援が励みになっています。これからもゆっくりかもしれませんが更新頑張っていきますのでよろしくお願いします! (2019年7月24日 18時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
ハート - 最新頑張ってください。応援しております (2019年7月24日 13時) (レス) id: f31ae08eec (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - ぱやさん» コメントありがとうございます。学生のため平日は忙しく中々更新が出来ないのですが主に土日や長期休みは頑張って更新したいと思っています。更新速度が遅いですが暖かく見守って応援して下さると嬉しいです! (2019年7月12日 22時) (レス) id: 9194933e72 (このIDを非表示/違反報告)
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