第十九歩 ページ20
「・・ろ・・お・・ろ・・・A!」
「ハッ・・・!!!」
名前を呼ばれ目を開けると、目の前には心配そうに俺を見る三人の姿があった。
夢か・・・・・
久しぶりに見た気がする。
最近はあまり見ることがなかったのにな・・・
「大丈夫か?」
「うん。問題ないよ!」
「A、そんなに怖い夢でも見たの?」
「ん?なんで?」
「だって・・・・」
不意にエマが俺へと手を伸ばし、そっと頬に触れる
まるで夢に出てきた女性の様に優しい手つきで、
「A、ずっと泣いてるから」
「・・・ッ・・・え?」
三人の顔を見てから、俺は自分の頬に触れる。
俺の目から流れる"それ"を俺は慌てて拭う。
なんだ、これ。
この夢を見ると何時もこうだ。
訳の分からない涙がひっきりなしに流れる。
止めようとしても止まらない。
俺の思いとは裏腹に、涙は静かに流れ続ける。
「な、なんだろうね!と、止まんないや!」
三人に笑いかけながら、何度も何度も服の袖で涙を拭う。
何度も、
何度も、
でも、服が濡れるばかりで涙は理由もなく流れ続ける。
「大丈夫だから、三人は先に施設に戻ってて!」
こんな所をママに見られたら、何を言われるか分からない。
今からでも目立たない所に移動して・・・・
そんなことを考えていると、不意に俺の体が暖かい何かに包まれる。
視界が暗くなり、目の前にあった三人の顔が消える。
「え?なになに??」
「大丈夫だ。俺達が居る」
「そうだよA」
「泣かないで〜!!」
耳元で聞こえる三人の声と体で感じる温もり。
顔を上げると、三人が俺の体をさっきよりも力強くギュッ抱きしめてくれる。
あぁ。暖かいな。
体も心も暖まる様な、この感覚。
守りたい。
この大好きな日常も、
大好きな家族も、
そして作りたい。
夢の中の女性が言ってた、
本当の"幸せ"を。
「ありがとう。三人とも」
俺は三人を強く抱きしめ返した。
決して何があっても、この手は離さない。
この三人だけは、
何としても守りきる。
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アニメしか勝たん - 頑張ってください。私はあなたの小説が大好きです。いつもワクワクとした気持ちで見ています。無理する事なく、ちゃんと休んでくださいね。 (2023年1月17日 14時) (レス) @page14 id: d82d2213ef (このIDを非表示/違反報告)
ほしの - 滅茶苦茶面白かったです。続きはもう見れないのでしょうか…この先が気になります!更新、何時までも楽しみに待ってます。 (2022年1月26日 8時) (レス) id: 3e0bb8035d (このIDを非表示/違反報告)
ヤイ(プロフ) - とても面白かったです!!!更新頑張ってください!!! (2021年2月22日 21時) (レス) id: a0cd87f974 (このIDを非表示/違反報告)
ノア - とても面白かったです!更新楽しみにしてます。頑張って下さい! (2021年2月18日 13時) (レス) id: b55d75de00 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうらり - めちゃ続いて欲しい…この後の展開が気になる、っ (2020年12月23日 23時) (レス) id: e0a13cc95c (このIDを非表示/違反報告)
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