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第12話 ママの笑み ページ13

ギィ…

ハウスに入って、廊下を歩く。

エマ「もう…バレてるかな…ママに。私達が塀まで行ったこと。」

ノーマン「どうだろう…昨日あの場でバレなかったことを考えると、ママは常に僕らの居場所を把握しているわけじゃない。
確認(・・)して初めて位置を知る(・・・・・・・・・・)
だからもし発信器の信号が個人を特定できるもので、ゆうべの帰り道や今日の昼間にママが「確認」していれば…」

A「行ったこと、知ったこと、逃げること、全部バレてる…」

ノーマン「でも、そうと決まったわけじゃない。
僕はまだ…少なくとも“誰か”の特定はできていないと思う。
でなければ、あんな回りくどい警告はしない。直接僕らに“脅し”をかける。
だから…」

ドン「おーい、ノーマン!ちょっといい?」

ノーマン「待って、今行く。」

だから(・・・)、今はやっぱり普段通りに振る舞うこと。

私とエマは、飾ってある絵を見た。

昨日まであったコニーの絵はなくなっていた。

A「っ!」

足音がして振り返ると、ママがいた。

ドクン

ママ「どうしたの?エマ、A。顔色がよくないわ。
そう言えば、今朝はいつもより元気がなかったんじゃない?」

ドクンドクン

心臓の音がうるさい。

エマは…

エマ「そんな…こと…」

ダメだ。

A「…ママ!私もエマも今日怖い夢見ちゃって、それでちょっと元気なかっただけだよ!ねっ、エマ!」

私は、普段通り(・・・・)の笑顔で、ママに笑いかけた。

エマ「そうそう!怖くて、Aのベッドに潜り込んじゃったんだ!」

ママ「そう。」

エマ「ママ…」

ママ「なぁに?」

エマ「私ももうじきハウスを出るんだよね?」

A「寂しいね…」

エマ「うん…」

ママ「エマとAはハウスが好き?」

エマ・A「ハウスもママ(・・)も大ー好き!」

私達は、ママに抱き着いた。

エマ「コニー…今頃どうしてるかなぁ。
コニーね、大人になったら、ママみたいなお母さんになりたいんだって!」

A「…」

ママ「ええ、知っているわ。
楽しみね。コニーならきっと素敵な大人に、いいお母さんになるわ。」

A「っ!」

ママの笑みに、私は背筋がゾワッとした。

ダメだ笑え!

普段通り(・・・・)笑って──

カランカラン

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作者名:苺の花 | 作成日時:2019年6月6日 2時

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