終わらない物語 (ページ15)

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拾参ページ15

夢を見た
そうだ
私は長い悪夢を見ていたんだ
村だって襲われてない
そう、何もかも悪い夢

大きく息を吸うと、冷たい空気が肺に入ってくる
目を開けると、暗い室内が目に入った
手だけなぜか生暖かい。それに、ヌルッとしている

手のひらを見ると、赤い…液体？

「…っ！！」
何これ…血、よね
なんで、こんなものが私の手に…？

下を見ると、黒髪が目に入る
そう…『頭』だけの
下は？…壁に、もたれかかってる

「いやぁあぁぁ！！」
やだ、なんで…やだ！！
私じゃない！私じゃない！
こんなこと…

「赫…葵…緑葉…黄耆…これ、私かなぁ…」
それしかありえないんだよね

「…運ぼ…」

私はとりあえず赫たちを外に運び出すことにした
「はぁ…大丈夫…私は、大丈夫」
私は自分に言い聞かせるように繰り返す
周りを拒絶するように耳を塞ぎながら

「いたぞ！」
あ…やっと、出れたのに…
ま、いいや。赫たちは洞窟に寝かせてきたし

こんな私なんて…人を殺してしまった私なんて、死んじゃえばいいんだ

バイバイ

シュッ

矢が私に向かって飛んでくる
私は戦う気力なんてない
これで、死ぬだけ

バチィッ

「え！？

＿＿＿＿＿＿＿＿＿黄耆！？」

パッと私の目の前を閃光が飛び散る

この能力は…黄耆の『閃光百花』

そして、私の前に立っているこの人物

白い髪に黄色い目

間違い無く、黄耆だ

「ごめんね、怖かったね、Aちゃん」

優しく笑った君は、太陽みたいだった

「…ばっか、おっそいなぁ…私、待ちきれなかったじゃん…」
「そっか、ごめんねぇ」
「なんで能力使えんのよ」
「僕、皆よりかは使えるから」
成る程…
仲間が一緒って、やっぱりなんか落ち着くなぁ

「かかれ！一人でも二人でも変わりはない！！」

あらあら…伝説の五人の能力者、舐められちゃ困るわね

「ヤッチャッテ、イイヨネ？」

黄耆が本気出したのなんて、三年ぶりかな

黄耆を怒らせたんだから、その責任は取ってもらうわよ

「いいわよ。やっちゃって」
私のその一声を合図に黄耆が動いた