弁解したい ページ1
朝、いつもより早く学校に着き、まだ誰もいない教室で読書をしていた。
静かな教室は読書に最適だ。私は恋愛小説を読んでいた。
乙女なら誰でもドキドキするであろう理想的な展開に、私もドキドキしていた。
“お前のことが好きだ。だから……何があってもお前を守る。お前の一番側で”
王道だが、惹かれるものがある。こんな事言われてみたい。
こんな恋、できるものならしてみたい。
『したいわ……』
ため息混じりにそう呟いたとき、予想外の出来事が起きた。
「……何をしたいんだイ、子猫ちゃん」
誰もいないと思っていた教室に、突如響き渡った、癖のある、耳に残る声が聞こえた。
顔を上げるとそこには、逆先夏目が立っていた。
＊＊＊＊＊
どうしよう、このままじゃ、やばい人だって思われたままだ。
戸惑いと焦り、恥ずかしさのせいで上手く弁解ができなかった。
きっと、他の人になら弁解はできたと思う。
私の声を聞いていたのが夏目くんだったから……
なぜこういう時に限ってこんなことに。
心の準備を整えてから、夏目くんに弁解することにした。
『あ、あの……夏目くん。』
「……なんだイ、子猫ちゃん」
明らかに引かれている。夏目くんとの距離が、遠くなった気がした。
『今朝の……本を読んでいただけなんです』
こういう時に出る敬語は何なのだろう。
余計に誤解を招きそうで怖かった。
「今朝……？本……あァ、『したい』って言っていタ、アレ？」
『はい……』
「どんな本を読んでいたんだイ、というカ、Aに敬語を使われるのは慣れないネ」
『あっ、ご、ごめんなさい！……じゃなかったわ、ごめんね。』
そう言って、自分のカバンから本を取り出す。
そして今朝読んでいたページを開き、説明を始めた。
『このキャラのセリフなんだけど、“お前を守る”って、かっこいいなぁって思って。
“お前を守る”なんて言われてみたい。私もこんな恋愛をしてみたい……って思ったの。』
「そういう意味だったんだネ……その本、読んでもいイ？」
意外だった。夏目くんが、この本を読む？？？
でも、少し面白い気がして
『私が読み終わったら、貸すわね。』
そう約束した。
＊Aと一緒にいられるだけデ、ボクは幸せだヨ＊
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーパーソン
かっこいい先輩
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作者名：夢咲 桜空 | 作成日時：2019年2月6日 14時
