1週間目-you- ページ13
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『ごめんなさい、』
目の前の人に向かって頭を下げる。
“…好きな人、いるの……?”
顔を上げれば、そこには寂しそうに話す、
同じ授業をとっている、有岡君。
『…うん、』
……多分。とは言えなかった。
“この、……大学?”
『……違うよ、』
そう言うと、本当に諦めたようで、
“そっかぁ…。うん、わかったっ。”
ありがと!と同時に、有岡君は微笑む。
無邪気な、綺麗な笑顔だった。
……でも、帰っていく背中は、やっぱりしょんぼりしてた。
大学の人目のつきにくい場所を選んでくれたのも、彼の優しさなのかもしれない。
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蝉が……きっと亡くなって、あと一ヶ月で1年が経とうとしていた。
友達には、有岡君なんて好物件、逃すとかあり得ない!なんて強く押されたけど、
蝉の方が、もっと上をいく好物件だから、もうしょうがない。
夏は、冬より好きじゃなかったけど、最近はずっとこの季節を待って、
うるさい…、声を待って。
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『……蝉、うるさい。』
ぽつりと呟いた。
ミーンミーンと、毎年恒例の鳴き声は、3年前からあまり気にならなくなっていた。
もっと近くに、もっとうるさいのがいたからかなぁ。
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なんだか無性に会いたくなった、あの日____。
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さくらんぼ - 良い作品でした。私も、グラスホッパー大好きです!蝉が亡霊となって登場するものもありだな〜と思いながら感動しながら読ませて頂きました。ありがとうございました。 (2018年11月4日 21時) (レス) id: f717513e5e (このIDを非表示/違反報告)
RIN - もう、涙が止まりません笑このサイトでこんなに泣いたことはありませんね。とっても素敵な作品でした。これからも応援してます。このお話たまに読みに来るかもしれないです笑 (2018年10月20日 23時) (レス) id: a3eb9dc6e0 (このIDを非表示/違反報告)
彩乃 - ティパ二さん» もう泣きぱなしでです (2018年10月7日 0時) (レス) id: 640833d8ad (このIDを非表示/違反報告)
ティパ二(プロフ) - motimotiayuu___さん» ありがとうございます!とても嬉しいです!! (2018年2月11日 20時) (レス) id: 1b206bf4f7 (このIDを非表示/違反報告)
motimotiayuu___(プロフ) - 大号泣でした! とても、感動しました! (2018年2月10日 14時) (レス) id: 36fb33f855 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ティパ二 | 作成日時:2015年12月28日 22時