Ｔｏｐａｚ (ページ6)

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山田家＿5 ページ6

涼介side

一時間も寝ていたら……すっかり貧血は治まって。

回復が早くて早退しなくていいことに安心しながら、もう一回寝ようか………としていたら、裕翔がやって来て阻止された。

声がでかいっての……頭に響く……常に見下ろされてんだからさ。

中「よくなって良かった！お昼だけど食欲はない？」

涼「んー……あるような、ないような」

不気味なほどにこにこの笑顔で………連れてこられたのは食堂。
うちの学校は中高一貫校で、給食の代わりに共同の食堂がある。

ガッツリ系のメニューを見たら胃が凭れそうになってきた。

涼「俺は…いいや」

何にしようかとそれなりに豊富なラインナップから選んでいる裕翔。

立っているのが疲れたので先に席取りをして待つことに。

お盆を運びながら戻ってきた裕翔の昼食は日替わりメニューのレバニラ炒めのようで。

中「やまも少し食べな？」

涼「変な気遣わなくていいのに」

中「気は遣ってないよ。美味しそうだったから」

見え透いた嘘……って訳でもなさそうか………少なからず裕翔の好きなものでもあるし。

親切に取り皿と箸を持ってきてくれていた裕翔に昼食までもお裾分けしてもらいお腹は満たされた。

それだけでいいの？とまた心配はされたけど。

中「……次体育だ。やまは保健室行く？」

涼「いや、日陰で見学してる」

中「ほんと？大丈夫？」

涼「出たいのを妥協していってんの。参加していいなら出るけど？」

中「それは駄目」

今の状態で参加しても迷惑をかけるだけだってわかってるから冗談だけど。

念押しに止められるからはいはい、と追い払った。

涼「そっちにいるから」

中「気分悪くなったらすぐに誰か呼ぶんだよ」

校庭を走っている皆を見て、羨ましい……と小学生の頃は思っていた。

自分は皆と違う………どうしたら同じになれるんだろう。

今はもう思わない……ずっと一緒の同級生たちは何かと気にかけて寄ってきてくれるし……軽いものなら誘ってもくれる。

涼「人に…恵まれてんな、俺は」

中「やまー！そっちボール行っちゃった！」

コロコロ転がってきたボールを返し、少しだけ参加できた気分になる。

勢いよく投げ返したいところだったけど、近くまで来てパス！と言ってくれた裕翔に両手でポンッと投げた。

中「ナイス！」

涼「ほんとかよ」

他の人の何倍も優しさに助けられているんだろう………

………自分とちゃんと付き合えるようになったのは回りの人のお陰だ。