Ｔｏｐａｚ

山田家＿4 ページ5

涼介side




涼「……ぁ……」

中「おっ、と…貧血？」


まだ軽いけど目眩がして。

後ろにいた裕翔に支えられ椅子に座らせてもらった。

このまま治まればいいけど……長引いたら保健室行きだな。


授業の半分も出られずに連行されることの多い俺が使う保健室のベッドはもう専用なんて言われている。

嬉しくないし、むしろ馬鹿にされてる気がしてならないけど。

父や最悪兄に迎えに来てもらうよりはマシだから大人しくしておく。


涼「ゆうと……っ」

中「……治まりそうにないか。ちゃんと掴まっててね」


恥ずかしいけど自力じゃ動けないので裕翔に抱っこされていつもの場所へ向かう。
本当は次の授業も出たかったんだけど、気持ち悪くなってきちゃったから諦めて。

ベッドに下ろされるなり慣れた手つきで体温計を渡され黙って従った。







裕翔side



涼「もういいよ、授業行って」

中「先生が戻るまではいるよ。やまの名前出せば大抵お咎めなしだから」

涼「酷……言い訳に俺を使うなよ。窓ガラス割ったとか言われても責任とらねぇかんな」


まだ白い顔をして微笑むやまに、俺は頷いて返す。

布団をかけてあげるとうとうとしだすやまにおやすみと声をかけていると先生が戻ってきて。


中「あとお願いします」


あと一分で授業が始まるので、よく知った先生に任せて急いだ。

………あとで、大ちゃんに報告しておかないと……言わないと俺の信用を失っちゃうからね…………


やまとは幼馴染みで山田家との付き合いも長い。
大ちゃんにはよく遊んでもらったし、学校で何かあったときは報告するよう頼まれている。




…………やま、大丈夫かな。

今朝も大ちゃんからメールをもらっていて。

昨日倒れたばかりなのに制止を振り切って学校へ行ったから注意してみておいてくれ、と。

それで俺もいつもより早くに登校したってわけ。


思ったよりは元気そうにしていたけど……不審がられないように後ろにくっついているのも結構大変。


案の定、ふらついてしまって………すぐに対応ができてよかった。



小学生の頃、学校で大発作を起こしたやまを見て以来、それまでのただの友達としてみていた目が変わって。

勿論同情や面倒臭いといった負の方ではない。

助けたい、守りたい………兄弟や家族といった感情に近いと思う。


中「お昼一緒に食べたいなぁ……」


終了を告げるチャイムに素早く反応し号令をかけると、空っぽになった弁当箱をおいて保健室へ向かった。

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