Ｔｏｐａｚ (ページ24)

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◇小さな背中＿1 ページ24

大貴side

その日の俺は……学校で、とばっちりで怒鳴られて。

引きずるタイプではないものの、理不尽すぎる物言いに納得できず………その気持ちを家にまで持って帰ってきていた。

溜まった洗濯物も晩飯の買い出しも……全部面倒くさくて、手をつけないまま。

夕方、普段より遅く帰ってきた涼介にもイラつく始末。

涼「……ただいま」

大「何してたんだよ」

涼「なにって……」

………俺は寄り道もせず家に帰ってくるって言うのに、中学生はいいよな。

完全な八つ当たりだったけど……そのまま声に出していて。
言ってから、後悔した。

涼「別に、遊んでたわけじゃない…」

大「あー、そうかよ」

涼「…なに？」

………遠くから、雨の音が聞こえてくる。

洗濯物は外に干しっぱなし。

もうなんかいいや、って……。

涼「あ、洗濯物……！大ちゃんも手伝って！」

大「いいよ、別に」

涼「………」

目もくれずに、スマホのゲーム音を上げて。

その間に涼介は一人で洗濯物を取り込み始めた。

涼「……濡れちゃった…」

大「………」

涼「大ちゃん、何でなにもしてないの？」

大「……は？」

涼「……え？」

その物言いはさらに俺を苛立たせ、ついに俺はぶちギレた。

大「俺じゃなくてもお前がやればいいだろ。どうせ暇してんだからよ」

涼「…っ……」

言い返してくると思ったのに。
涼介は抱えた洗濯物を、静かにたたみ始めた。

勘ぐりすぎかもしれないけど………俺なんか相手にならないと言っているようで。

みんなして………俺ばっかり責めやがって………

大「……ムカつくんだよ…」

涼「…いいよ……あとは俺がやっておくから」

そういう涼介の声は全然俺を責めてはいなかった…

人を傷つけて自分の痛みを癒すような人間はクズだ………

………一度出た言葉を無かったことにはできないから、背中を向けている涼介がこっちを振り向く前に二階の部屋へ逃げ込んだ。