虹の色、君の色。～Wataru.Y～ (ページ39)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:39,076 hit

39 ページ39

「その時やっと、裾を掴めってことなんだと理解したんだよね」

ここまで話して、渉くんの顔つきが変わった。

「…思い出した」

「やっと？(笑)その後ね、小声でお礼を言ってから、裾を掴んだらまたふいっと渉くんは前を向いて。私、渉くんの背中を見つめながら、必死にバスの揺れに耐えてたんだよね(笑)」

掴ませてもらってるんだから、もうぶつかるわけにはいかないって。

だけど、結局ぶつかっちゃったんだけどね。

「それで、またAがぶつかってきた時、俺…笑ったよな？」

「そうそう。私あの時、絶対怒られると思ったの。なのに、渉くんふっと笑いながら私のこと見てたんだもん」

なんで笑ってるのこの人…って思ったんだ。

でも、それは最初の印象。

その後すぐに思ったの。

「なんて可愛い笑顔で笑うんだろうって。この笑顔を見て、私は渉くんに恋をしたんだと思う」

私がそう言うと、少しだけ赤く染まった渉くんの顔。

また、渉くんの可愛いところが見れちゃった。

「あの時助けてもらって、渉くんの笑顔に一目惚れして。それから、ずっと会えることを望んでたの。そしたら、出会えちゃった」

「俺、言われるまでその子がAだって気づかなかったんだけど。だから、余計に思い出せなかったのかも」

「も～う、渉くん言い訳しないで！！」