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左手 ページ29

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Aside




亜嵐「まじでごめん……俺が驚かせたから…」



A「だから平気だって」





指を切ってしまった私は、昼食作りを一時離脱。


ティッシュで傷口をさえていると、絆創膏を持った白濱くんが私の元にやってきた。





亜嵐「血、止まった?」



A「うん」



亜嵐「じゃあ、指出して?」





言われるがままに指を差し出せば
白濱くんは優しく絆創膏を貼ってくれて。



そしてそのまま、指先を握られる。





A「…え」



亜嵐「ん?」



A「…なにしてるの?」



亜嵐「絆創膏の粘着力高めてる」



A「それって……必要?」



亜嵐「俺いつもしてるよ?」





そう言って、キュッて少しだけ握る力を強めた。




……えっと


これは、その……


すごく恥ずかしいというか……。




なんだか白濱くんを見れなくて
ただ手元を見つめた。




キッチンの方を見れば、私の代わりに片寄くんが慣れない手つきでオムライス作りに励んでる。


その隣で美月はテキパキとこなしていて。



私と同じように美月の様子を見ていた白濱くんは、美月ちゃんすごいな、なんて呟く。





A「…なんでも出来る感じだよね」



亜嵐「うん。」



A「…私も美月みたいになんでも出来たらよかったのに」



亜嵐「え?」



A「…かっこ悪いじゃん。こうやって迷惑かけたりするの」





つい漏れてしまった弱音。


黙ってこちらを見つめる白濱くんにハッとして
慌ててなんでもないと誤魔化した。




………しまった。


雰囲気、悪くしちゃった。




そんな後悔が脳裏をよぎる。




すると、白濱くんは少し考える素振りを見せたあと
そうかなぁ?って。


再び、視線がこちらを向いた。





亜嵐「俺はそういうふうに思わないけど」



A「え?」



亜嵐「…苦手なこと、あんなに頑張ってんのに悪く思うやつなんている?」



A「……」



亜嵐「…少なくとも俺は、慣れないこと一生懸命やろうとしてるAちゃん見て、頑張り屋なんだなって思ったよ」





偉い偉い、なんて子供をあやすように言う白濱くん。


それと同時に私の頭の上に
白濱くんの左の手のひらが乗って。



…少しだけ、鼓動が早まる。





A「…バカにしてるでしょ?」



亜嵐「滅相もない笑」





シラケたような目を向け、冗談を言う白濱くんを軽く流した私。




………だけど、頭に乗ったその左手を払うことは出来なかった。



.

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心音(プロフ) - すごくドキドキします!! 全然ベタな展開でもドキドキできていいです!!!! つぎの更新も楽しみにしてます!! (2019年4月14日 2時) (レス) id: f04cf3a636 (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - このお話すごく面白くて大好きになりました!毎回驚かされます。これからも頑張ってください! (2019年4月8日 15時) (レス) id: 7756676704 (このIDを非表示/違反報告)
y,206 - 毎日更新楽しみに待ってます!頑張ってください!! (2019年4月4日 23時) (レス) id: d4f39bbfd7 (このIDを非表示/違反報告)
まるこめちーは(プロフ) - 初めまして!毎日らなさんの物語楽しみにしています!!新作待ってましたー☆玲於推しですが、亜嵐くんも楽しみにしています! (2019年3月29日 19時) (レス) id: 797fcf741c (このIDを非表示/違反報告)
ど根性オレンジ(プロフ) - (ノ `・∀・)ノ゙ オオオオォ♪らな。さんの新作!またワクワクドキドキしちゃいます…(*´ω`*) (2019年3月29日 7時) (レス) id: 20d845d7dd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らな。 | 作成日時:2019年3月28日 23時

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