キミの嘘も、寝顔も、明日も。-Ki-【7】

味見 ページ39

.





＞お疲れさまです。
ホワイトデーの件、宏くんが作ったものならなんでもいいです。
でも甘いものがいいなぁ☆














彼とのラインにそう打ち込んで、送信ボタンを押す。



宏くんにはたまに料理を作ってもらうけど、お菓子とかは作ってもらったことないしなぁ。



出来るのかな？














＞了解！
楽しみにしとけ！














そう返事があった仕事の帰り。



今日も駅までの帰り道を裕太くんと歩き、いつものように家へと帰宅した。










ーーー

ーー

ー









宏光「よぉーし、まずはぁ〜…」












はなちゃんも寝付いた夜。



いつもなら二人の時間だけど、今日はキッチンで唸り顔の宏くん。













宏光「絶対覗いちゃダメだからな」













目を細くして少し睨みをきかせた彼が私を見て言う。



ツルの恩返し…？














宏光「ゆせん…てなんだ？」



「…ふふふっ」













ぶつぶつと呟く声と共に部屋に広がっていく甘い匂い。



大好きなチョコレートの香り。













「チョコレートを使うんですか？」



宏光「秘密」



「でもチョコレートの香りしますよ？」













言いながら、ソファーの背もたれからキッチンをチラ見する。



そんな私をチラ、っと見上げた宏くんは、ぺたぺたと私の方に近付いてくる。



その人差し指には甘い香りの正体たるモノが。













宏光「はい」



「……え？」



宏光「味見」



「…あじみ、って…」



宏光「チョコレートかチョコレートじゃないか。当ててみて」



「…」













差し出された宏くんの右手に触れながら、彼に視線を合わせる。



そしてその視線を彼の人差し指に戻し、ソレをそっと口に含んだ。













「…チョコレート、」













そう呟いて彼と視線を合わせれば、不意に降りてきた柔らかい唇。












宏光「…ん、甘い。チョコレートだね」












ぺろ、って唇を舌で舐め上げながら悪戯に口角を上げる彼に、ジワっと顔が熱くなるのを感じた。






.

本来の目的→←天然？

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す