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 今日も今日とて、隣の席の朝原さんは椅子にちょこんと座っている。

「朝原さんって髪の毛綺麗やな」

「そう? ありがとう。宮くんの髪色も素敵だよ」

 いや、せやないやろ。

 あの日感じた違和感の正体はこれだった。今まで女子が俺を誉めそやすとき、大抵そこには下心や媚があった。それなのに、朝原さんは何の衒いもなくそれを口にするのだ。

 しかし、なおもやもやは俺の胸中にはびこっている。もう一つの違和感、というか、問題が発生したからだ。

 せめてもの抵抗に、肩に流れる黒髪に手を伸ばしてみる。朝原さんは少し驚いたような表情をしたが、さすがの無表情で注視しなければ分からないくらいだった。

 いや、せやないやろ……!

「ほんまに?」

「うん。やっぱりお顔が整ってるから、派手な髪色でもよく映えるね」

 照れる素振りも期待するような目線もない。真面目に答える朝原さんに、口から力のない呟きが漏れた。

「あかーん……」

「……宮くん、ちょっと顔赤い?」

 ちょっとどころではない。顔に熱が集まってくるのがはっきりとわかったので、俺は片手で顔を覆った。

「体調悪いの?」

「あんま見んとって……」

 これが件の問題点。俺の沽券にかかわる大、大、大問題だ。

 どうやら朝原さんは相当の褒め上手らしい。というより、言葉が真っすぐで素直だ。対する俺は、そんなストレートな言葉に徹底的に弱かった。

 自分でも思いもよらない欠点だった。俺の前では二オクターブほど声が高くなる女に慣れすぎてしまったのかもしれない。髪色褒められたごときで照れるとか乙女か、と治に鼻で笑われそうだ。

「宮くん、無理したら駄目だよ」

 隣席に収まっていたはずの小さな体がいつの間にか身を乗り出して、ひやりとした手が額に添えられる。衝撃の余り、顔を隠していた片手から力が抜けて机に落ちた。
 ごん、というまあまあ迷惑な大きさの音にも頓着せず、朝原さんは真剣な顔をしていた。それを見ていたら分かる、この一連の言動は計算をした上のものではない。彼女はいたって真面目だ。

「熱はないみたいだけど。一応保健室に行く?」

「寝たら治るから! 大丈夫やで、ダイジョーブ」

「そう?」

 勢い任せな言葉に不審そうにしつつも、朝原さんはそれ以上深追いしなかった。そういうところも今まで見てきた所謂「女子」とは違って、俺を困惑させる。

 寝ると言った以上そうせざるを得ない。机に臥せって、思い切り恨めしい顔をした。

モテ男の名にかけて→←違和感



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せなけいこ - この夢主ちゃんの性格も、少女漫画のヒロインな宮侑もめっちゃ好きです!この作品を生んでくれてありがとうございます。性癖に刺さりまくりです!! (2020年9月18日 15時) (レス) id: ef980343e4 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - mimiさん» お返事が遅れてすみません!色々考えたのですが、本編はここで終わりにします。しかし私としても書きたいネタがまだたくさんあるので、そのうち別作品と纏めて短編集を出そうかと…。なので、気長に待ってくださると嬉しいです。 (2020年3月5日 1時) (レス) id: d263cbf7f6 (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - さかきさん» ただ私がこの主人公もミヤツムも好きなので続いて欲しいっていう我儘なのですが…( ; ; )もし続きを書こうか少しでも考えてらっしゃるならぜひ見たいです…! (2020年3月2日 3時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - mimiさん» 初めまして、まず初めにご愛読ありがとうございます。ごめんなさい、話数の問題で断念したんですが、やっぱり終わりにしては歯切れが悪いですよね…!?もう少し何とかできないか検討してみます! (2020年3月2日 0時) (レス) id: d263cbf7f6 (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - はじめまして。こちらずっときゅんきゅんしながら読ませて頂いてました…!最後、終わりとなってますが完結なのでしょうか( ; ; )続きを楽しみにしてたので… (2020年3月1日 14時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さかき | 作成日時:2019年9月24日 23時

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