はじめまして ページ1
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おかしなやつ、というのが彼女に対する印象だった。
「よろしゅう」
「あ、うん。よろしく」
席替えという、俺にとってはどうでもいいイベント。しいて言うなら後ろの隅っこがええな、くらいでそれに対して何の思い入れもない。もちろん、隣の席に座る人間に興味もない。ただ、今回に関しては少し違った。
隣の席に腰掛けている地味女子は朝原さんというらしい。去年はどうやら違うクラスで、校内で見かけた記憶もない。
胸のあたりまでまっすぐに伸びた黒髪と静かな面持ち。十人にきいたら九人は「真面目そう」と感想を零すような、そんなごく普通の女子。
抜かりなく彼女を観察して、面倒なことにはならなさそうだという結論に至る。前の前だったか、いやそのまた前か？ もう思い出せないがとにかく去年、少し親切にしてやっただけで勘違いをした女子がいたこと思い出した。あれは面倒だった。
だから愛嬌を振りまいてみたのだが、俺には彼女の反応が不満だった。あっさりと一言二言、は、そんだけか？ 朝原さんは既に手元の文庫本に没頭している。
俺ってモテるよな、と双子の片割れにごちたら、思い切りげんなりした顔でナルシスト引くわと言われたことがある。しゃあないやん、事実やもん。
バレンタインには山ほどチョコを貰うし、所属しているバレーボール部の試合にはミーハーな女子が殺到する。かなりの頻度で呼び出されるし。これで自覚がない方が引くわ。
そんな俺だから、彼女の塩対応が意外を通り越して不満だった。そもそも相手が俺だろうが俺じゃなかろうが、二年に上がって初めての席替えなのだからもう少しあるだろう。こう、いそいそしたりわくわくしたりとか。俺が言えたことじゃないが。
もしくは照れているのかもしれない、と仮説を立ててみる。人間は意識の裏返しで冷たい態度をとることがある、ということはもう知っている。つまり彼女は、照れ屋か俺に微塵も興味を示さない奇特なやつかのどっちかだ。
俺のぶしつけな視線に気づいているのかいないのか、朝原さんの瞳はいまだ文章を追っている。俺は当分、観察を決め込むことにした。隣席になったのだから、時間はたっぷりあるのだ。
窓の外では、桜の花びらが風に乗ってひらひらと舞っていた。
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せなけいこ - この夢主ちゃんの性格も、少女漫画のヒロインな宮侑もめっちゃ好きです！この作品を生んでくれてありがとうございます。性癖に刺さりまくりです！！ (2020年9月18日 15時) (
レス) id: ef980343e4 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - mimiさん» お返事が遅れてすみません！色々考えたのですが、本編はここで終わりにします。しかし私としても書きたいネタがまだたくさんあるので、そのうち別作品と纏めて短編集を出そうかと…。なので、気長に待ってくださると嬉しいです。 (2020年3月5日 1時) (レス) id: d263cbf7f6 (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - さかきさん» ただ私がこの主人公もミヤツムも好きなので続いて欲しいっていう我儘なのですが…（ ; ; ）もし続きを書こうか少しでも考えてらっしゃるならぜひ見たいです…！ (2020年3月2日 3時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - mimiさん» 初めまして、まず初めにご愛読ありがとうございます。ごめんなさい、話数の問題で断念したんですが、やっぱり終わりにしては歯切れが悪いですよね…！？もう少し何とかできないか検討してみます！ (2020年3月2日 0時) (レス) id: d263cbf7f6 (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - はじめまして。こちらずっときゅんきゅんしながら読ませて頂いてました…！最後、終わりとなってますが完結なのでしょうか（ ; ; ）続きを楽しみにしてたので… (2020年3月1日 14時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかき | 作成日時：2019年9月24日 23時
