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侑くんがずっこける。
「なんやねん。普通付き合うのが終着点なんとちゃう？」
「いや、初対面でプロポーズしたやつに『普通』とか使われても」
なるほど、とこれで納得されてしまうのだから業が深い。いや、反省はしても後悔の念は一片たりとも抱いたことがないけど。
「あれも直感というか、何にも考えず口走った感じだし。好きなのは確かなんだけど……うーん」
「え、真剣に悩む感じなん？ もうホームルームやで」
飽きた、と顔にありありと書いてある。発端が何を言ってるんだ、さっきまでの真面目な顔はどうした。文句の一つでも言ってやろうかと思ったが、担任が教室に入ってきたのでやめた。
担任の定石めいた話は退屈で、右から左に流れていく。私はまだ「もし思いが通じたら」と自問している。
付き合うとか想像できないんだよな、だってあの治くんだよ？ 万が一、いや億が一そんなことになったらそりゃ嬉しいだろうけど、バレーに打ち込むうえで邪魔じゃない？ 強豪校、しかもレギュラーだよ。えっ今更ながらスペックの高さにびっくりするんだけど。違う、そうじゃなくて。
「あーもう」
小さな声で呟いて、頭をぐしゃぐしゃと掻きまわす。やめよう、こんなの私らしくない。結果のことなんて、今考えたってしょうがない。
タイミングよくホームルームが終わり、侑くんがぐりんと勢いよくこちらを振り向く。彼のこの顔を知っている。これは――
「ま、治はお前のこと好きやないって言うとるしな！ 無駄やな、無駄」
悪戯が成功した時の顔だ。
「えっ私の悩んでた時間返して」
この話は終わり、とばかりに侑くんが手をパンパンと叩く。でも奇遇だね、私も今似たようなことを考えてたんだ。
「侑くん！」
なにー、と気の抜けた返事を返す侑くんの視線は、既に手元のバレーボール雑誌に注がれている。完全に興味をなくしているが、そんなことは気にしない。
「決めた！ いや決意はとっくにしてたけど改めて！ 私、まずは治くんに振り向いてもらえるように頑張る！」
おー！ とこぶしを突き上げる。侑くんはおざなりにだけどへー、だって。そういうところ優しいんだよね、ちょっと性格に難があるけど。
そんな失礼なことを頭の片隅で考えながら、私は人知れず闘志を燃やすのだった。
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さかき(プロフ) - mimiさん» 話数的にあと一話だけなら書けそうです。内容によっては私に向いてないかもしれないんですけど、もしよかったらリクエストとかありますか？あるようでしたらボード？にお願いします (2019年9月19日 7時) (
レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - 初コメ失礼します。きついです、この作品まだまだ続いて欲しいです…（ ; ; ）本当に2人とも可愛くて… (2019年9月19日 2時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - 瑞稀さん» やったー！好きとか可愛いとか言って貰えて嬉しいです！治は甘え上手なイメージがあります笑番外編も楽しんで貰えたら幸いです！ (2019年9月18日 23時) (レス) id: 8018115b1b (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - あぁぁぁ！！！めっちゃくちゃ好きです！！！番外編も嬉しいですありがとうございます！！治くん甘えた可愛すぎて… (2019年9月18日 18時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - まゆ。さん» おつありです！満足いただけたでしょうか。治で書くかどうかは分かりませんが、書きたいネタはいっぱいあって私自身ワクワクしてるので、よかったらまた読んでやってください！お粗末さまでした！ (2019年9月18日 16時) (レス) id: cb48af79f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかき | 作成日時：2019年8月9日 17時
