優しい鬼 ページ8
茨木童子は振り返り、私の方へ歩み寄った
「…腰を抜かしたか」
この鬼は全てお見通しらしい
さっきまで強がっていたが、物事が終わった後緊張の糸が切れて、体に力が入らなくなったのだ
たった1日で非現実なことが立て続けに起きては何度も死ぬ目に遭ったのだ、無理はないと言いたい
「…ううん、ちょっと疲れただけ。すぐ立てる」
弱音を吐いている場合じゃない、自分のことなのだ
しっかりしないと
力を振り絞って立ち上がり、何事ないように振る舞う
「ほら、ね?」
茨木童子に向かってニッコリ笑ってみせる
そうじゃないと、また弱いだのなんだの、文句言われそうなんだもん
「…君が放つ気は、この世界にはない特別な気だ」
茨木童子は気にせず続ける
「鬼は生き物の気を感じることができる…私や天邪鬼のようにな。君のその特別な気を辿って、取り込もうと襲いにくるやつが立て続けに現れるだろう」
それが、先ほどの天邪鬼達…か
ずしっと気が重くなるのを感じた
また命を狙われなくちゃいけないの…?
「都から離れたところに、陰陽師がいる。彼ならなんとかしてくれるだろう」
「陰陽師…?」
そか、ここは平安時代
今で言うと占い師みたいな人だよね?
茨木童子は頷き、
「私が連れてってやる」
「本当に?ありが…っ!?」
突然、視界が茨木童子の服で埋まったと思いきや、視線が高くなった
つまり、再び横抱きで抱えられたのだ
「…歩くより飛んだ方がはやいからな」
「っ茨木童子…」
そう言ってるものの、きっと私に気遣ってくれたのだろう
優しい、鬼だ
すると、高い木の枝に飛びそしてまた跳躍して次の木の枝へと飛び移った
確かに、歩くよりははやい
ふと茨木童子が触れているところから、体温が伝わってきた
…茨木童子ってあたたかい
体を預けたら、頑丈な装備の上から感じる温度はちょうどよかった
私はゆっくり目を閉じる
意識がどんどん遠くなり、やがて深い眠りへと落ちた______
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はぐはまさ - 麻乃さん» そう言って頂けて嬉しいです!ありがとうございます、頑張ります(*´∀`*) (2017年10月9日 18時) (レス) id: 1a4672ac58 (このIDを非表示/違反報告)
麻乃(プロフ) - はぐはまささん» はぐはまささんの書かれる茨木童子かっこいいです、もっと読みたいです(*´-`*) これからも応援してますヘ(*`∀´*)ノ (2017年10月9日 17時) (レス) id: 66c6973d83 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - 麻乃さん» ありがとうございます!!!( ´ ▽ ` ) (2017年10月9日 17時) (レス) id: 1a4672ac58 (このIDを非表示/違反報告)
麻乃(プロフ) - 更新お疲れ様です!(o´艸`) (2017年10月9日 13時) (レス) id: 66c6973d83 (このIDを非表示/違反報告)
はぐはまさ - 召使い丁さん» いえいえ!逆に確率アップじゃない時に出るなんて、凄いですね(°_°) ありがとうございます!! (2017年9月12日 8時) (レス) id: 1a4672ac58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はぐはまさ | 作成日時:2017年4月30日 19時