【陰陽師】女子高生と茨木童子

恩返し ページ11

水色のそれはピカピカと光っており、まるで宝石のようだ



「これを身につけていれば、気が周りに漏れず鬼から狙われない」





そう言われると、安倍晴明から手渡される




これでもう鬼とリアル鬼ごっこすることはないんだ…！



「それと…」



安倍晴明は続ける



「万が一のことを考えて、ここに滞在しても構わない」



「え？で、でも、そこまでお世話になるわけには…」



迷惑、あまりかけたくない



でも頼れる場所がないここの時代では、私が寝食できるところがない




「ふふ、大丈夫ですよ。私も滞在中の者ですから」




八百比丘尼ににっこり笑う





「そういうことだ。気にすることはない」





「っありがとう、お世話になります」





私は深くお辞儀した




早く、元の世界に戻れる手がかりを見つけなくちゃ…！




「そういえば、まだお名前の方を伺ってませんでした」




小白が思い出したかのように言った




「Aだよ」



「A様ですか！良い名前ですね〜」




自分の名前を褒められ、なんだか少し照れくさくなった




まさか、この歳で名前を褒められるとは…



「それにしても」



博雅が欠伸し、不思議そうに私の方を見た



「あの変態が人間の女を助けるとはな」



あの変態？



「茨木童子のことか。世の中には根が優しい鬼もいるさ」



安倍晴明は特に気にすることなく、扇子を仰いだ




へ、変態って…



思い当たる節がなく、頭を傾げた



って…そんなことよりも！



「あの、茨木童子はどこに…？」



一番聞きたかった疑問を口に出した



私をここに置いていったあと、どこへ行ってしまったのだろう？



ズキンッと心が痛くなった



______何でこんなにも会いたいんだろう




「茨木童子はAを連れてきたあと、山へ帰ったぞ」




安倍晴明は山がある方向を指差した



緑豊かに染まっている山はきっと…私が初めて訪れた場所だ



「あいつはいつもあそこにいる。きっと会えるはずだ」



「わかった。私…茨木童子に助けてくれたお礼がしたいの」




安倍晴明は頷き、



「しかし、他の鬼に襲われる危険性があるぞ？…と言ってもAなら何言っても行きそうだな」



お、わかってらっしゃるじゃないですか


安倍晴明は懐から御守りを取り出し、私に差し出した


「これを持っていれば、多少鬼の攻撃から守ってくれるはずだ」


その懐は便利な道具が出てくる魔法のポケットかなんかですか

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