【陰陽師】女子高生と茨木童子

恩返し2 ページ12

「んー、山に来てみたのは良いものの…」




範囲が広すぎ！




見回すと緑という緑





奥にも似たような景色が広がっている





これ見つけれるかわからないや




逆に自分が迷子になりそうだ





気を引きしめて、再び探しに行こうと足を踏み出した瞬間




「…女？」




声がした方を向くと、そこには





「茨木童子！」




私がどうしても会いたかった鬼が、木陰から出て来た





「人間が山に入って来たのは感じたが、君の特別な気は感じなかったが…」





不思議そうに思っていたが、思い当たる節があったのか、すぐ納得した表情になった





「安倍晴明が御守りをくれたの」





そうか、と茨木童子は小さく呟いた





「それより、どうしてここへ？人を襲う鬼がいるというのに…」





あ、今すごい苦い顔をされてしまった




迷惑だったかな…？




怯みそうになるが、グッとこらえる




「あの、私…茨木童子に助けてもらったからそのお礼をしたくて来たの」




今、私はお金を持ってないし高価な物を持っていない



してあげれることといえば、ただ１つ




私は首の後ろに手を回し、ネックレスを外した




シルバー色の片方の天使の翼に、付け根には丸く削られたターコイズブルーがはめられていた




茨木童子は初めて見るそれを、金色の瞳でじっと見つめていた



「それは一体…？」



「これは、私の大切なものなの」




母さんが生まれて初めて私にくれたプレゼント



小さい頃に買ってくれた、思い出ある品物



他にも色々やり方があるはずなのに、なぜか大切なものを茨木童子に譲りたくなったのだ



我ながら、おかしなことするもんだ



茨木童子は首を振った



「私は礼などいらない。それは君の大切な物だろう？自分で持っていた方が良いじゃないか？」



確かにそうなのかもしれない



でも、私は…




「私は茨木童子なら良い、て思ったの。だから受け取って…？」




会って間もない鬼にこんなこと言うのはおかしいけど



確かに心の奥底から思えたんだ



茨木童子なら、大丈夫だって



「…承知した」



茨木童子は半分諦めた状態で、私のネックレスを受け取ってくれた




私は胸を撫で下ろした



受け取ってくれなかったらどうしようかと思ったよ




「綺麗な首飾りだな」



まじまじとネックレスを眺める茨木童子は、人間と何も変わらない目をしていた



「ふふ、大事にしてね？」



「もちろんだとも」

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