沖田総悟【美桜】 ページ26
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『……ごめんね総悟』
初めた惚れた女はそう言って涙を流した。
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「ご結婚おめでとうございます」
目に前にいる江戸幕府の幹部である男に土方さん近藤さんが頭を下げる。黒の晴れ着に身を包む男は笑顔を俺たちに返した。
幕府のお偉いさんの婚礼式は、賑やかだ。
今日、警備を務めることになった真選組の俺たちは、頭を下げると警備のために彼らから離れた。
婚礼式が行われているこの庭園は、「紅葉亭」と呼ばれる美しい式場だ。こんな所で、婚礼をあげれるとは女は幸せだろう。
ーーー新郎がここを選んだ理由は、おそらく新婦の女を思ってだろう。
ひらひらと宙を舞う紅葉の葉。綺麗に色づいたそれが秋を知らせてくる。
ーーーあァ、なんて綺麗なん…
『ーーー綺麗』
「…!」
式場の一角、白無垢に身を包んだ女は俺と同じ言葉を口にした。半年ぶりに見る彼女が愛おしく見つめていれば、俺の視線にようやく気づいたらしく振り返る。
目を見開き悲しげに笑う彼女は「……元気?」と俺に尋ねたのだった。
「どうだろうな」
『ふふ……、そう…沖田さん変わってないね』
外に出る彼女に誘われるかのように、足取りは外へ。Aは外に出ると、辺り一面に散りばめられている紅葉を手探りにより分ける。
「お前ェは変わるんだろ」
『……変わりたくないけれど、変わらなきゃいけないから。私、好きじゃない人を好きにならなくちゃいけないの』
半年前、唐突に別れを告げた彼女は今日、さっきの男と結婚することになっているのだ。
それは所謂ーーー政略結婚で。
親が勝手に決めた男と結婚するはめになってしまった彼女は泣きながら俺に別れと謝罪をいれたのだった。
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あくび少女 - こんな綺麗な物語、いつか私も書きたいです。 (2019年7月20日 22時) (レス) id: 1b61770dea (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 今までどの作者さんも好きでよく拝見させていただいてました。今では、憧れから自分の小説を書いているのですが、皆さんの素晴らしさを身に染みて感じました。(宣伝みたいですね……ごめんなさい。)これからも沢山の作品を楽しみにしています! (2018年2月6日 22時) (レス) id: 6b9c59579e (このIDを非表示/違反報告)
うおーあいにー(プロフ) - 私が今まで見たことのない位の語彙力と素敵な言葉でできていました! (2017年12月9日 8時) (レス) id: 7ec2bdde97 (このIDを非表示/違反報告)
みぷ(プロフ) - 文章一つ一つが綺麗で、とっても素敵だなと思いました!表現や言葉にも意味が詰まっていてぜひ参考にしたいなと思う作品でした!次の企画があることを楽しみにしています! (2017年7月28日 18時) (レス) id: 941945c1ec (このIDを非表示/違反報告)
戦胡蝶(プロフ) - 本当に綺麗な言葉で綴られたお話ばかりで全部一気に読んじゃいました!素敵なお話ばかりで心がほっこりしてます!!素晴らしい作者様ばかりで私も見習わないとと意気込んでおります(笑)またこういう企画を行ってくださるのを楽しみにしてます! (2017年7月27日 13時) (レス) id: de5c5c0c62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しののめ x他4人 | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時:2017年7月1日 1時