54.日常 ページ5
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――次の日から、いつもの日常が戻ってきた。
ジョングクとの間に出来た秘密だけが、少しだけ私の視点を変えたような気がする。
なんにも知らないみんなが、ジョングクの初給料で買ったゲーム機に群がっている様をぼんやりと見つめていた。
｢うわ〜ジョングク、お前思い切ったなあ〜！｣
｢やったー！ マリカだ！｣
｢トーナメントしよ！｣
｢コントローラーは……うわ、四つ揃ってんじゃん！ さすがすぎだろ！｣
中庭にスクリーンを張ってガヤガヤと楽しそうに笑うみんな。
もう｢彼氏出来た？｣とは一言も聞かない。きっと、ジョングクが何かを伝えてくれたのだろう。
鞄ごと財布を無くしたと言ったらおばあちゃんは呆れていたし、学生証もポイントカードも作り直し。でも、何も文句も言う気になれず、私は全部の再発行手続きを済ませた。
｢A、こっちおいでよ！｣
｢A入れてちょうど八人でしょ｣
｢おい、俺も入ってんのかよ｣
｢全員参加ですよー！ あ、罰ゲーム決めよう！｣
ちょいちょいと手招きをされてみんなに近づくと、ジョングクがひょいとコントローラーを渡してくれる。
その顔は昨日の険しさなんかどこにもなくて、私は内心酷く安心した。
私はもう彼氏を作ろうとかそういう事を考えるのは止めて、流れに身を任せることに決めた。
ナムジュンさんの言葉通り、これはくだらない見栄を張った結果だし、ジョングクにもすごく心配をかけてしまったから。
男の人は怖い。みんながみんなそうじゃないとわかっているけど、とりあえずもう無理はしない。
ちゃんと好きになる事が大事なんだな……と今回のことで本当にそう思った。
｢ピーチ姫誰だよ｣
｢Aだろ？｣
｢え？ 私、ワルイージですよ？｣
｢俺がピーチ〜｣
｢お前かよ｣
賑やかな雰囲気が楽しくて、私は少しだけ笑った。昨日からすっかり塞ぎ込んでいて、久しぶりに笑った気がする。
チラリと隣に居るジョングクを見ると、此方を覗き込んだ顔が穏やかに笑っていた。
｢……元気出た？｣
｢……うん｣
私が頷くと、周りのみんなもニコッと笑う。
｢A、失恋にはゲームが一番｣
｢え？｣
｢お前、人の傷を抉るなよ！｣
｢あれ？ 失恋したんじゃないの？｣
きょとんとしたテヒョンさんの顔に、思わず勢いをつけてジョングクを振り返る。ニヤリと笑ったジョングクは、すぐにスクリーンへと視線を戻した。
……もう、失恋でいいや。
私は何も言い返す気になれなくて、黙っていることにした。
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おけ(プロフ) - ここまで1日で読みました‼︎このお話大好きです！応援してます！ (2022年2月8日 23時) (
レス) @page40 id: a8986157d1 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - はるさん» ありがとうございます〜！デビュー当時辺りを想像して書いてました 楽しんでもらえて良かったです！また気が向いたら続きも書くので、よろしくお願いします^^* (2020年2月7日 9時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
はる - ひゃ〜〜この作品は大好きで何度も読み直しているので、新しいお話嬉しかったです！なんとも守ってあげたくなるまだまだあやふやなグク、、主人公ちゃんと出会って、お互いを好きになれて本当に良かったなと思いました！これからも応援しております！ (2020年1月29日 2時) (レス) id: 75eff8e160 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - じみちむさん» ありがとうございます´`* ちょいちょい書き足していきますので、また読んでください〜！ (2019年8月29日 22時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
じみちむ(プロフ) - 番外編も最高でした♪( ´▽｀) (2019年8月26日 17時) (レス) id: f91208f58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2019年6月9日 16時
