9話 ページ10
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「アルハイゼン…!!!」
Aがベッドの上で寝れもせずただひたすらに祈っていると、外で何やら言い争っている声が段々と近づいてきた
ガチャリとドアを開ける音が聞こえたので、Aはベッドから起き玄関まで飛び出した
「うわぁ…!!ビックリした!」
「!!」
アルハイゼンが帰ってきたものだと思い急いで飛び出してみたら、そこにいたのはだるそうにしている金髪の男性と、その人に肩を貸している大きな耳が生えた男性だった
「君がAかな?」
「…はい」
「僕はガンダルヴァー村でレンジャー長をしているティナリだ
アルハイゼンから頼まれて君とこの、カーヴェの診察をしにきたよ」
「あの、アルハイゼンは…」
ティナリと名乗った男性は、肩に担いだカーヴェをソファーへと座らせると手際良く診断をし始めた
診察を受ける最中もカーヴェはうわ言のように悪態をついていたが、ティナリがハイハイとあやしている
「アルハイゼンならマハマトラへ組織を引き渡す処理をしているから、もう少ししたら帰ってくるよ」
マハマトラへ引き渡す…
と言うことは、本当に組織はアルハイゼンによって壊滅したの?
「因みに君のご家族は無事でガンダルヴァー村に搬送したよ
えと、シティの救護院じゃ居心地悪いでしょ…?」
ティナリが少し言いづらそうにそう告げる
確かにアルハイゼンは私たち一族が無実だと信じてくれていたが、シティの人たちはまだその事を知らない
禁忌の罪を犯した上に一族無理心中したと思われているだろうから、シティ以外で見てもらえるのはありがたかった
そして家族が無事という言葉を聞き、Aの張り詰めた糸が完全に切れるとパタリとその場に座り込んだ
「神様…っ
いいえ、アルハイゼン…ありがとう…!!」
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作者名:みずと | 作成日時:2023年7月5日 3時