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5話 ページ6

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「…うぅっ」



私は後頭部のズキズキとした痛みで意識を取り戻す

部屋は明かりが付けられており先ほどよりも間取りが良く見えた


相変わらず腕は後ろ手に縛られてたまま、今はその腕を柱に固定され、猿ぐつわと両足も縄で縛り上げられていた

寝てる間に他にも暗器を隠し持っていないか探られた様で、服がはだけている


先ほどまでだったらまだ何とか脱出も出来て可能性があったが、完全にその道筋も途絶えてしまった…





「起きたか」




声が上から降ってきたので顔を上げると、男が何も無かったかの様に椅子に座り本のページを捲っていた




「君が帰ってこないのに誰一人様子を見に来ないとは

相当信頼されているか
はたまた捨て駒か…」




パタリ、と本を閉じると男がこちらに近付いて来て、私の顔を覗き込んだ


先ほどは暗くて見えなかったが
男の見た目は灰色の髪に特徴的な瞳の色をし整った顔をしていた

体付きは背も高く筋肉質で、どこが本の虫の書記官なんだ…
と疑いたくなる容姿だった



(って見にこないって言うくらい時間が経ってるの?)





「依頼主は随分と教令院について無知な様だ
大方今日オルモス港で言いがかりをつけて来た、あの無名の地方貴族だろう

感情に任せて俺を調べもせず組織に依頼したか」



「…依頼内容はそうだな

君の装備的にも暗殺が目的では無いようだ

自ら痛めつける為に生け取りで連れてこい…などか?」





チラリと目を細めてこちらを見る
依頼内容も依頼主もピタリと当ててみせた男に、背筋が凍りつく


(この男、どれだけ頭いいのよ…)





「ふ…正解のようだな」



私の瞳の動きで正解だと確信した男は満足したのか、私の後頭部に手を回し猿ぐつわを外した




「ん…けほ…」


「本来ならばこのままマハマトラに押し付けて終わらせる予定だったんだが、少し事情が変わった」



「どう…ゆこと?」



猿ぐつわをされていたせいで、口や喉が乾燥し少し声が掠れてしまった











「君は知論派学者ラメッシュの娘か?」


「…どうして、それを…」



ラメッシュとは父の名前だ


Aが疑問に思っていると、男の手にキラリとロケット付きのネックレスが光った




「それっ…返して!」





それは今の薄汚れた私を唯一私と証明するもの







「そうか、一族は皆死んだと伝えられていたんだがな…」




少し目を伏せた男は、特に勿体ぶる事もなくネックレスをAの首へと戻した




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作者名:みずと | 作成日時:2023年7月5日 3時

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