46話 ページ47
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「随分と待たせてしまい、すまなかった」
頭の上にはてなマークを浮かべるAを見て、セノが説明してくれた内容はこうだ
十数日前、組織とAの一族の調査状況は依然として進捗は芳しくなかった
そこに突如現れたのがアルハイゼンだった
彼は特に理由は言わず、調査は全て自分がやるから早く判決をしてくれと交渉してきたのだ
マハマトラとして知り合いだからと優先度を優遇する訳にはいかない
ただどの事件でも言えた事だが被害者のことを考えると、早く審判を下し白黒つけたい気持ちは常にある
そんなセノにとって、アルハイゼンの申し出は棚から牡丹餅であった
「…だから最近アルハイゼンは忙しそうだったんですね…」
セ「あぁ、そもそも彼が俺のところに直談判しにきた時には、その手に殆どの証拠を集め切っていて拒否権は無いに等しかったがな」
ア「当然だ。断られて別の手段を取る労力などを考えれば、事前に君の退路を絶つことの方が有効だと明確だろう」
セ「はぁ…本当にアルハイゼンにはしてやられたよ」
目の前で日常会話の様に談笑をしている二人を目の前にして
Aはただ唖然として二人を見るしかなかった
もちろん心の中ではたくさんの感情が渦巻いてる
自分の中の罪悪感は消えていないが無罪となった事
家族が受けてきた汚名が晴れた事
またアルハイゼンに救われた事
色々と感情が渦巻いて脳の処理が追いついていない
その中でも今一番頭にあるのは
どうしてこのアルハイゼンという男はこうまでして私のことを救ってくれるのだ…
ということだった
私はまだアルハイゼンにちゃんとした好意を持った事を伝えていない
なら、自分のために努力している事を言えば私からの好感度を上げられたはずなのに、今セノから伝えられなかったら
私の不安を日々受け止めてくれていた裏で、アルハイゼンが一人私のために動いてくれていた事に気付けなかったくらい、アルハイゼンからこの事は一切聞いていないし、そんな素振りも見せた事はなかった
ただ純粋に、私のために彼は動いてくれたのだ
自分の感情に押しつぶされそうになり、寂しいとアルハイゼンに縋っていた自分を恨めしくも思うと同時に
アルハイゼンのその純粋な私への愛情に酷く胸の鼓動がうるさく鳴り響いた
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作者名:みずと | 作成日時:2023年7月5日 3時