44話 ページ45
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「A、おきてくれ」
優しく揺すられる感覚で夢から覚めたAは眠い目を擦り上半身を起こす
普段なら寝巻きのアルハイゼンが隣にいるはずなのに、目の前にはすでに普段着に着替えている彼が立っていた
「…あれ、私寝坊しちゃった？」
「問題ない、今日はちょうど早くから予定があった」
「そうだったのね
朝早くからお疲れ様」
「ありがとう
身支度を済ませたらリビングに来てくれ」
Aの額に軽く口付けをすると、アルハイゼンは寝室から出ていった
まだぽやぽやとしている頭で、アルハイゼンから与えられる幸せを噛み締める
最初はあんなにも変わり者の堅物だと思っていたのに、随分と変わるものだ
それにしても不思議な夢を見たものだ
あまり詳しくは覚えていないが、何故かあの隼がアルハイゼンの様に感じて最後に感謝を伝えてしまった
今の私が何とか人間らしい生活を送れているのはアルハイゼンのおかげだ
私を繋ぎ止め居場所を作ってくれた
それだけじゃなく、不安になれば普段の彼からは想像できないくらいの言葉を使い、その不安を見えない様にしてくれる
現実でも伝えてはいるが、それでも伝えきれないくらい彼には感謝している
その心が夢に反映されたのだろう
Aはベッドから抜け出すと寝巻きを脱ぎ、ベッドサイドに用意してある桶に水瓶から水を注ぐと、フェイスタオルを濡らし体を拭いていく
一般家庭より空調管理の整ったアルハイゼンの家ではあるが、体を重ねるとAの体力がすっからかんになる程情熱的な彼のせいで終わった時にはベッタリと汗をかいている事も多々あるのだ
…まぁ、そんなアルハイゼンとの行為も正直好きな時間でもある
彼とする行為が純粋に気持ちがいいということもあるが
それに仏頂面で無表情な彼が余裕のなさそうに顔を歪めて私を求める様は何とも言えない感情が湧き上がってくる
そしてそんなになるまで自分を愛してくれている彼の気持ちは、何よりも私の心を満たしてくれた
そんなアルハイゼンを私は…好きだ
多分…今の精神状態を度返ししても、彼を好きだと思う
…やめよう…！
朝からこんな事考えちゃったらリビングで顔を合わせた時、まともに顔を見れなくなってしまう…！！！
フルフルと大袈裟に頭を振って思考を霧散させると、普段着へと腕を通し鏡の前で髪を溶かしたり身なりをチェックしたのちに、寝室の扉を開けた
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作者名：みずと | 作成日時：2023年7月5日 3時
