41話 ページ42
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「おい」
Aに見送られて玄関を閉めるとすぐ横で腕を組み立っている者から声をかけられる
声色から察するに不満があるのだろう
Aと約束した手前、早く用事を済ませて帰宅したい俺はその声を無視して歩き出した
「待てって、聞こえなかったとは言わせないぞ」
「はぁ…
なんだ、いたのか」
肩を掴まれてしまい流石に聞こえないふりをするのは無理があるので、観念して振り返ると、不満な表情をこれでもかと顔に張り付けているカーヴェがいた
「最近のAのアレはどういう事だ」
「“アレ”と言われても」
「とぼけるな
先日随分と遅い時間に君に抱えられて帰ってきた日から明らかにAの様子がおかしいじゃないか」
「仮に何かあったとしても君には関係のない話だ」
ここ最近彼も彼なりに多忙な様であまり家に帰っていない様だったが、残念だがAはこいつと仲が良い
今のAには一人でも味方がいる方がいいのだが…
大賢者失脚の時といい、間の悪い奴だ
「なっ誰だって友人が豹変したら心配になるだろ!」
「ではその心配もいらぬものだ」
「はぁ…君に人間らしい感情を説こうとしたのが馬鹿だった」
大袈裟にため息を吐く彼を横目にこれ以上話に付き合っても時間の無駄と判断した俺は、体を翻しその場を立ち去ろうとする
「ちょっとまて…!
一つ聞きたいことがある…!」
「…なんだ」
「その…君たちは付き合い出したのか?」
何を質問してくるのかと思えば…
「交際しているかどうかと言う事を聞いているのであれば、まだしていないな」
「はぁ?それなのにあんな状態な訳?
…そう聞くとますますAの精神状態が心配になるんだが…」
うーんと手を顎に添えて考えている彼を見るに、Aに惚れていて探りを入れたわけじゃ無いことは明白だった
またお得意のお節介からくるものなのだろう
「今の彼女には必要だからしているだけであって、弱みに漬け込んで交際を迫るつもりはない
それにもう一度いうが、君の心配は必要ない
すでに彼女を救う手立ては打ってる」
そう、彼女を救う為なら俺はなんだってしよう
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作者名:みずと | 作成日時:2023年7月5日 3時