34話 ページ35
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「ねえ見て見てアルハイゼン
凄く綺麗」
「建築技術を応用した小物だな」
先日ワンピースを買ったお店に連れて行けと条件付きで許しを出したAは、アルハイゼンとともにスメールシティに来ていた
メインストリートからは少し外れたここは平均的にランクが高い高級ショップが立ち並んでる
やはりAの見立て通りあのワンピースはそれなりのお値段のようだ
「アルハイゼンって建築知識とかにも明るいんだね」
「どこかの煩いやつが聞いてもいないのに無駄に語っているからな」
“どこかの煩いやつ”とは十中八九カーヴェの事だろう
「あ、そうだ
カーヴェとのルームシェアは白紙に戻したので、ご心配なく！」
アルハイゼンに揉みくちゃにされた後、彼もやっと聞く耳を持ってくれたので事情を説明したら
“俺はAにずっとこの家にいて欲しい、これが本心だ”
と真っ直ぐに伝えられたので、とりあえず無理にアルハイゼンの家を出ることはせずゆっくりとお金を貯めることにした
とは言っても、私自身が彼を好きになる確証はまだない
何にずっと居候するのは、彼の好意をいいとこ取りしてる最低なやつになってしまうのでお金が十分貯まった段階で彼に恋愛感情を抱いていなければどちらにせよ出ていくつもりではある
「そうか、ありがとう」
「いえいえ、こちらこそ
今後とも居候させて貰えるのすごくありがたいです」
「俺が君にあの家に留まっていて欲しいだけだ
一生いてくれて構わないんだがな」
ジッと見つめられてそんなプロポーズのような情熱的なセリフを恥ずかしげもなく言うのは反則じゃないか？
思わずこっちが恥ずかしくなってしまい目を逸らしてしまう…
「あえっと、なんかあれからアルハイゼン
凄く分かりやすく好意を伝えてくれるよね…」
「ああ、君がどこまでもお人よしで遠慮してしまうからな
いつも以上に具体的に自分の感情を伝える様に気をつけている」
「お人よし、というか自分に自信が無いから嫌われたくなくて色々考えちゃうだけだよ…」
「そうだったな
だがこと俺の前ではそんな事気にする必要はないだろう
随分と手荒ではあったが十分俺の気持ちは伝わったと思ったんだが」
アルハイゼンの手がAの方へ伸びてきたかと思ったら、Aの首筋をスルリと撫でた
その刺激でこの前のことを鮮明に思い出してしまい、思わず顔を赤く張らしながらアルハイゼンを睨んでしまった
「っばか！」
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作者名：みずと | 作成日時：2023年7月5日 3時
