29話 ページ30
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「ふあぁ〜おはようA」
「あ、おはようカーヴェ
昨日もだいぶ飲んできたみたいだね」
「あーそんなに酷かった?」
アルハイゼンが家を出発するのを見計らっていたかのように、まだ眠たそうな顔をしたカーヴェがリビングへと来た
アルハイゼンもそうだが、この男も女性でも羨む美しい顔をしているので、この家はなんとなく居心地の悪さを感じる
「まぁいつもの様になんとか床にデザインを書くことは阻止しておいたよ」
「うわ…悪い…!!!助かった」
本人は記憶にないようだが一度床に描き出したところをアルハイゼンに見られ、大目玉を食らっていたのでそれ以来それだけは阻止している
アルハイゼンには酔った時の癖がまだバレていないと思っているのはいかがなものかと思うが
「はい、お水とフルーツ
パンは食べれないと思ってサンドイッチにしておいてあげたから、お昼用に持っていきなね」
「ありがとう」
カーヴェは酔っ払って帰ってきた朝は基本起きてくるのも遅い上に元気がないのでよくこうしてサンドイッチにしておくのだ
「あー君がこの家に来てくれてだいぶQOLが上がったよ…
この家を出る上でそれだけが心残りだ」
「あれ、お家決まったの?」
「いや、生憎まだ資金もできていない…」
はぁ…とため息を吐き顔を覆うカーヴェ
人として尊敬される事を選んだ結果、今の万年金欠な彼がいると思うと早く報われてほしいと願ってしまい、どうしても世話を焼きたくなってしまう…
私よりも年上なんだけどね…
「そうだ…その手があった!」
Aがカーヴェについて考えていると、ガバッと顔を上げて目をキラキラさせた彼がこちらを見ていた
「A!こんな家出ていって僕とルームシェアしよう!」
「えぇ??」
「一人で家賃を払うと思ってたから無理だけど、君が働き出したらここを出て二人で折半すればイケる…!!
僕が多く払って君が少し家事多くしてくれればいい
君にはもう酔っ払った姿も見せてるし、何よりQOLが上がるのは利点でしか無い」
「確かに…私も働いてすぐは出て行けないしどうしようか考えていたから…
ルームシェアで折半なら早めにこの家を出ていけそう…」
今は完全にアルハイゼンにおんぶに抱っこ状態なので、仕事し始めたら早めに出ないととはAも考えている事だった
家賃も安く住み、食材も無駄になりずらい
案外良い案かもしれない…
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作者名:みずと | 作成日時:2023年7月5日 3時