28話 ページ29
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「それで何か家事でもお使いでも
何でもいいから仕事もらえないかなぁ…
あ、料理は簡単なのはできるけどちゃんとしたのはできないからね…！」
「では朝食と家の掃除を任せようか」
「ん、朝食ぐらいだったら大丈夫！
あと掃除も出来そう」
「君は箱入り娘だったからな」
「癪だけど組織でこき使われてたおかげで少しは抜け出せたけどね…」
「では明日からよろしく頼む」
「任せてっ」
「アルハイゼン、ご飯できたよ？」
コンコンっとアルハイゼンの部屋をノックして少しすると“わかった”と中から聞こえてきた
最近のAの日課は、朝食を作りコーヒーを入れアルハイゼンを起こすことから始まる
元々何かを調べたり自分なりに工夫することが好きな性格だったので、食事の作り方や掃除も暇に任せて調べては試しているのでメキメキと腕を上げている
と言うより暇だからそれくらいしかやる事が無いのだ…
「部屋の中に入って起こしてくれていいと言っているだろ」
ついさっき起きたばかりとは思えないほど寝起きから整った顔をしたアルハイゼンが起きてきた
私なんて起きたばかりだと目が開かなくて枯れかけのキノコンみたいな顔になるのに
「流石に自室は遠慮しますよ」
「夜這いをしにきた者の口からそんな言葉が出るとは…」
「なっ…それは無し！！」
まさかその話題を掘り返されるとは…
今思い返しても顔が真っ赤になる程恥ずかしい黒歴史だ
組織にいた時は裸にされても見られても、特に恥ずかしさも感じなくなっていたのに…
少しは普通の感覚に戻れてきた証拠だろうか？
「しかし初日にコーヒー豆をそのまま茹でていた人間とは思えない成長速度だな」
目の前の食卓にはトーストにスクランブルエッグとハム
カットフルーツとちゃんといい香りのするコーヒー
自分でも初日の大惨事からだいぶコーヒーも手慣れてきだした実感はある
「色々調べていたらすごい奥が深くてね
ハマっちゃいそう」
「そのままプロフェッショナルになってくれると安泰だな」
「そうねぇ…働けるようになったらカフェに就職するのもいいかも？」
マハマトラもまだまだ賢者失脚のせいで忙しい日々を送っているらしく今も組織の取り調べはまだ途中のようで、終わるまでは就職もダメそうだ
Aはそんな夢を見ながら良い香りのするコーヒーを一口のんだ
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作者名：みずと | 作成日時：2023年7月5日 3時
