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23話 ページ24

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「ほらコレ」


ポンとテーブルに置かれた巾着をティナリに見せてもらうと中身はモラだった



「僕らレンジャーも慈善活動な訳じゃないから、初めは体調が安定したら君のご家族には自分たちで生きてもらうつもりだったんだけど…」


少し申し訳なさそうに話をするティナリだが、何も間違っていない
ここはあくまで森を監視し人々を守る場所でありボランティア活動をしているわけではない




「アルハイゼンに先手を打たれたよ

“当面のAの家族の資金はこれで払ってくれ”ってね」


「え?」


「アルハイゼンが人の為にこんなに動くなんて、前代未聞なんだけど…君たち本当に初対面なの?」



「本当に初対面です…!!ただ…」



そこまで行って口篭る…

私も初めは疑問しか無かった

ただ昨日の夜、彼の心の内を聞いてしまった



Aは見る見るうちに顔を赤くしてしまった















「あっはははは!!!」

「ちょっと…笑わないでくださいよ…!!!」


「だって!あのアルハイゼンが一目惚れとか…!!!」



顔を茹蛸のように赤たAを不審に思ったティナリに探りを入れられ、Aはいとも容易く暴露してしまった



「私そんな一目惚れされるような価値なんて…」


「一目惚れなんて直感のようなものだし、そう難しく考えても答えは導き出せないさ

それに彼は利口だ
後先考えない行動なんてしないだろうし、熟考を重ねた上で出した結論だろうから気の迷いなんて事もあり得ないだろうね」


「んんん…」



私よりも関係が長いティナリがそう言うのだからそうなのだろう…

それに一目惚れした理由なら顔から湯気が出るほど語ってくれている
ただ単に自分のことを一番自分が信じれないのだ





「まぁ、君の境遇からして自信がないのは理解できるけど、彼の友人としては一旦向き合ってあげてほしいな」


「はい…」



「じゃあご家族のことはこちらで引き受けるから、いつでもおいで
それで君たちの事を是非酒の肴にさせてくれ

ね、アルハイゼン」


「へ?」



ティナリが急にAの後ろに向かって彼を呼んだので振り返ると、そこにはいつの間にか話の中心人物の姿があった



「随分と話に花が咲いていたようだが、もう用事が済んだのなら帰るぞ」


「あ、うん
ティナリありがとうね?」


「ふふ、頑張ってね」



スタスタと帰路に着くアルハイゼンに置いてかれぬよう、急いで挨拶を済ませると

少しニヤついたティナリが見送っていた


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作者名:みずと | 作成日時:2023年7月5日 3時

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