18話※ ページ19
※注意
「アルハイゼン…起きてる?」
アルハイゼンの寝室の扉叩くと“どうぞ”という了承が聞こえてきた
目の前にある扉は一般的な大きさと大差ないのに、今はやけに重く大きく感じた
扉を開けると彼は普段着けているヘッドホンも外しゆったりとソファーに座り読書をしていた
「何か用か?」
「…」
Aは無言でアルハイゼンの元へ行くと、彼が持っていた本を取り上げて机に置き、スルリと彼の上へと乗ると首へ腕を絡めた
「…何をしているかわかっているのか?」
「…抱いてください」
そう言いアルハイゼンを見つめるとAの瞳はちょうど月明かりに照らされ、薄暗い部屋の中やけに輝いて見えた
こんな時すら真顔で対応していたアルハイゼンだったが、その瞳が目に映った瞬間ズクリと彼の琴線に触れたのか
Aの頭を掴むと噛む様なキスをした
「ふっ…ん …ぁ」
(あぁやっぱり私にはこれしか無いのだ)
息苦しさを感じながらも涙で瞳を潤ませ必死にアルハイゼンの欲に応えていると、口を離した瞬間つーっと糸を引いた
「いいんだな…」
「はい…」
Aの了承を聞くとそのままAを抱き抱えてベッドに組み敷いた
(その目…見え覚えがある…)
Aを見下ろすその獣の様な目は、組織にいた時何度も見た事がある
Aが抵抗すれば“お前は神の目と体ぐらいしか価値が無いんだから”と何度も言われ、消費された
ただ今は、悔しいが本当に自分の価値がそれくらいしか無いと思う
アルハイゼンは神の目を自分で持っている上に私より強いから、組織の様に神の目を使って価値を見出す事も出来ない
そうなると私の価値は欲の捌け口くらいしか残っていなかった…
「っ…何故だか分からないが、君のその目を見ると自分の中で熱された欲が溢れてくる…」
「んっ……あぁっ」
その熱された欲を余す事なくAにぶつけてくるアルハイゼンは、自分の腕で顔を隠していたAを許す事をせず腕を掴み拘束すると瞼へとキスを落とす
「や…っ見ないでっ」
「ダメだ」
神様の様に思えたアルハイゼンも、男性なのだ
いいじゃ無いか…もう十分救ってもらった
彼が私に価値を見出してくれるのであれば、受け入れるべきだ…
人知れず、Aのその綺麗な瞳から一粒雫が落としシーツにシミを作った
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作者名:みずと | 作成日時:2023年7月5日 3時