12話 ページ13
.
「あの…アルハイゼン…」
ティナリもカーヴェもいなくなり二人きりになると、また沈黙が訪れた
アルハイゼンは何もなかったかの様に、そこにAがいないものの様に自分の事をしたりして特に声を掛けてこなかった
Aはお礼を伝えたいのと、どう言う状況に今なっているのか聞きたかったがあまりに居心地が悪くただソファーに座って黙っていた
(あれ…)
私ここで何やってるんだろう
もしかして今日あった事は夢だったのでは?
さっきまで青天の霹靂の様に思えていた時間も砂漠で見る蜃気楼の様に幻覚を見ていたのでは…
ティナリが言う様に外傷などは後頭部に打撲痕が出来たことくらいで痛み以外感じては居なかったが、Aもまた精神的に憔悴しきっており、沈黙という手持ち無沙汰な状況になったことによって負の側面が顔を上げだした
急に不安に駆られたAはソファーの上でキツく自分の膝を抱えた
「…泣いているのか?」
どれくらい膝を抱えて出してから時間が経ったのだろうか
負の感情に飲み込まれていたAはアルハイゼンの声でビクリと肩を揺らす
声を発しないAに見かねて、アルハイゼンはAの隣に座った
「組織のことだが」
急に聞きたかった話を振られて、Aはまたビクリと肩を揺らした
嘘か誠か。
その真相を確かめるのが今は怖いのだ
「実は七聖召喚のフレンド検索機能を使用して追跡した」
「へ、七聖…しょうかん?」
あまりの似つかわしくない単語がアルハイゼンの口から飛びてて思わず顔を上げてしまった
アルハイゼンはチラリと横目でAを流し見ると、また説明をし始めた
「ああ、あの商人は普段はインテリア系の商売をしている。
そこに著名の建築デザイナーがノコノコ現れれば、商人も今後の利益を考え下手に手出しは出来ないだろうと踏んだ
組織の方も俺を誘き出す餌にする事も出来、彼の事が金のなる木に見えるだろうからな
後は会食の場に乗り込み、カーヴェを取り戻す振りをし素直に着いていけば依頼主のところに辿り着けるわけだ
その後は依頼主に組織の情報を吐かせ、組織に乗り込む」
「そんな…危険過ぎます」
Aと対峙したアルハイゼンは確かに強かった
しかし組織に神の目持ちが居るかもしれない中単騎で乗り込むのはどう考えても無謀というものだ
「そこで使うのが七聖召喚だ」
.
136人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みずと | 作成日時:2023年7月5日 3時