11話 ページ12
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「酔っているだけの奴が随分と高待遇だな」
Aがカーヴェからグラスを受け取り、背中をさすっているといつの間にかアルハイゼンが帰ってきていた
「アルハイゼン…!!」
「お前…!!!どう言うことだっ…!!!」
Aがアルハイゼンに近寄ろうと思ったのも束の間、先にカーヴェが立ち上がりアルハイゼンに掴み掛かる為に歩き出そうとして思いっきり転びそうになったので、Aはカーヴェを支えることにした
「自分の現状すら把握できない程とは」
「おま、えが何も言わないで酒が飲めるって行かせたからだろ!?」
「言ったところで、いつもの様に無駄な正義感を振りかざして俺の計画を無駄にするのが目に見えているからな」
「お前っ!!」
「アルハイゼン…やめて!」
カーヴェがAを振り解いてこの瞬間にも飛びかかろうとするところを必死に抑えながら、Aはカーヴェを必要以上に責めるアルハイゼンに叫んだ
「コラー!
病人がいるのに言い争いをするんじゃない!!!」
大きい声がしてそちらを振り返ると、表情はにこやかなのにその内面にどす黒さを漂わせたティナリが立っていた
テ「よし、君もとりあえず大丈夫そうだね」
「ありがとうございます」
あの後ティナリは手に持っていた何ともなずそうな液体をカーヴェに飲ませると、無理やりカーヴェを寝室へと突っ込んでAの診察を終わらせた
テ「ただ、この後症状が出てもおかしくない、2、3日は絶対安静で家から出ちゃだめだよ!」
「…はい」
テ「安静期間が抜けたら、ガンダルヴァー村に来て家族に会えばいいさ」
ティナリはAがすぐに家族に会いに行こうとしていたことを先読みしたのか、注意と提案をしてくれた
Aもわざわざ村から出向いてくれただけで無く、家族までお世話になっている方に歯向かう気も起きず素直に頷いた
テ「あ、カーヴェにも言ったけど、アルハイゼン。君とカーヴェは彼の体調が戻るまで会話禁止!」
ア「俺は構わないが」
テ「毒が盛られなかったからまだしも、もし盛られてたら流石に僕も擁護しきれなかったよ?」
ア「あの商人はそんな度胸はないのは分かりきっていた。それにアジトに連れて行かれたとしてもそもそも彼と俺では容姿が違いすぎる」
テ「…はぁそこまで計算していたならいいけど、彼には同情するよ…」
ティナリはそう言い、もう一度二人に釘を刺し帰って行った
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作者名:みずと | 作成日時:2023年7月5日 3時