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Aから『美味しいものを食べに行きたい』とメッセージが届いた。
彼女なりに気を遣ってくれたのかもしれない。
「なぁ、高杉、お前なんか良さげな店とか知ってる?」
「......それ生徒に聞くかァ?」
「ですよねー…」
屋上で煙草を蒸す銀八は項垂れる。
そんな彼の様子に高杉は溜息を吐く。
「無ェとは言ってねぇ」
その言葉にバッと顔を上げ高杉を見やる。
高杉は手を差し出した。
それは「煙草を寄越せ」とでと言っているようだ。
教師として生徒にそんなもの渡せるはずもないが、正直今回ばかりは形振り構って居られない。
むしろ煙草一本なら安いものだ。
「どうせA絡みだろ」
「何悩んでんのか知らねぇがたまには素直になったらどうだ?」
銀八によって差し出された煙草を受け取りライターで火を付ける高杉は一息吸うと短く煙を吐き出した。
「高杉に言われちゃ世話ねぇなぁ...」
「ぁ"? 元はと言や手前ェが」
「うん、そうだね」
「...」
珍しく弱気な銀八に高杉は顔を顰めながらも携帯を取り出した。
スイスイと慣れた手付きで操作し、電源を落としたかと思えばその後直ぐ銀八のポケットからメッセージ音が響いた。
「いくつかURLを送った、後は手前ェで決めな」
「助かるわ、さんきゅ」
送られたURLを開き眺めながらお礼を言う。
高杉はそんな銀八を見てまた口を開いた。
「Aは"薔薇"なんだってなァ?」
「...は? ...おま…ッ! 何で!!」
「ククッ、」
銀八のリアクションに笑う高杉に「あ〜、沖田くんね...」と顔を覆う。
「"棘"にビビってちゃ世話ねぇな、銀八ィ?」
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作者名:アカツキ | 作成日時:2024年1月14日 0時