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まだまだ残暑が厳しい9月。
銀八は卓上のカレンダーと睨めっこしていた。
「はぁ〜〜〜…」
そして口から盛大に吐き出された溜息は職員室内に消えていく。
「悩み事ですかィ?」
顔を机に突っ伏して「うーん、うーん」と唸る銀八の頭から一人の声が降ってきた。
「総一郎くん、どうしたの?」
「総悟でさァ。今日は日直なんで日誌の提出に」
「あー、ご苦労さん」
沖田から日誌を受け取り中身を確認することなくそのまま机の上に置いた。
「で? さっきの溜息はどうしたんで?」
「何でもないからさっさと帰りなさい」
面倒に巻き込まれる前に追い出そうと試みたがそう簡単にはいかないらしい。
沖田は引くどころがズイと近付くと「気になりまさァ」と問い詰めてきた。
この沖田総悟、教師も手を持て余す人物である。
さてどうやって切り抜けよう。
そんな事を考えている時だった。
「おーい、総悟!」
職員室入口で彼を呼ぶ声が聞こえる。
「あ、ゴリラ」
「近藤さんはただのゴリラじゃありやせん」
「じゃ、何?」
「ストーカーのゴリラでさァ」
「悪化してんじゃん」
「ちょっと酷くない?! そもそもゴリラじゃないからね?!」
「ストーカーは否定しないんですね」
「あれは愛のある行為だから」
痺れを切らして職員室内に入ってきたゴリラもとい近藤に銀八は再び深い溜息を吐き出した。
他の教員からの視線が痛い。
「まじで勘弁してくんない…?」
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作者名:アカツキ | 作成日時:2024年1月14日 0時