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28. ページ29

『マヨネーズ、マヨネーズ…あ、あった」




買い物メモを片手に探し求めていた商品に手を伸ばすと別の手が横から伸びてきて触れ合った。




「『あ、』」




それに驚いたのは相手の方で先に手を引っ込める。
学ランの男の胸元には見覚えのある校章バッチが付いていた。




『ごめんなさい、これが欲しかったのよね? はい、どうぞ』





Aは綺麗に陳列されたマヨネーズを一つ取るとその人に渡す。
未だに驚いた顔をしている男は受け取ることなく口を開いた。





「あんた…、銀八の…」


『え…?』




次に驚いたのはAの方だった。



「Aー? マヨあったー? …って…ゲ……」



買い物カートを押して別の陳列棚から現れた銀八はAと、その前に居る男を見るなり嫌な顔をした。



「マヨあった? じゃ行こうぜ」


「待て待て待て」



何も見なかったことにしよう、とAの腕を引っ張る銀八だったが学ランの男がそれを妨げる。



「へぇ、一緒に買い物か? 仲良いんだな?」

「うるせぇよ! 放っておけよ! 土方お前人の恋路なんてどうでも良い質だろ…何なんだよ…」

「別に? 先生の反応楽しんでるだけだ」

「悪趣味過ぎない?」



銀八によって彼が「土方」だと知ったAは記憶の中を辿り『あぁ…あの子か』と妙に納得した。



『M字前髪のマヨラーくん?』



そう言葉を零すAに土方と銀八は言い争いを止め彼女を見る。




「どんな認識させてんだ」

「合ってるっしょ?」

「土方です、土方十四郎」

「何しれっと握手しようとしてんの」

「別に良いじゃねぇか、それくらい」





話で聞くより随分と大人びた男の子だ、と。
それがAの第一印象だった。





『初めまして、いつも銀八がお世話になってます』

「いや世話してんの俺だからね」

『そうなの? 銀八よりしっかりしてそうだけどね』




Aの意地悪な物言いに銀八はへそを曲げてしまったのか彼女の手にあるマヨネーズを取ると籠に入れくるりと踵を返した。





「すいません、からかい過ぎた」





気まずそうに謝る土方にAは『ははっ』と声を出して笑う。




『ふふ、可愛い人でしょう?』




土方にとって銀八が"可愛い"などさっぱり理解は出来ないが彼女の笑顔に肯定する他なかった。


Aは陳列棚からもう一つマヨネーズを取ると改めて土方に渡す。
そして行ってしまった銀八の後を追うようにその場を去って行った。




「…成程、」




土方は何かに納得し、Aから受け取ったマヨネーズを片手にレジへと向かった。





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作者名:アカツキ | 作成日時:2024年1月14日 0時

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