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27. ページ28

「なんか面白いもんでもあるの?」





そんな問いにAは銀八を見た。




ウェイターによって運ばれてきた料理は皿から無くなりつつあった。






『何も無いよ、何で?』

「さっきからボーッと外見てるから」

『...たまに通り掛かる家族を見てたの』







Aはそう言うとストローを咥え残りのアイスティーを飲み干した。




銀八は知っている。




水族館に行った時も家族連れの親子を見ていた。







「羨ましい?」



『ん? 何が?』







質問の意図が分からないのが、きょとんとするAに銀八は顔を顰めた。







「やっぱ何でもない」

『何よ、もう』

「夏は嫌だなって思っただけ」

『えー? どうして?』







その質問に益々眉間に皺を寄せた。






「Aがボーッとしてるからだよ」
「会計行ってくる」







銀八は机の上に伏せて置かれた伝票バインダーを手に席から立ち上がりレジへと向かって行ってしまった。



夏関係ないじゃん、なんて言葉は飲み込んだ。



Aは慌てて荷物を纏め銀八の後を追い掛ける。








「有難うございましたー!」






店員の挨拶にAは軽く会釈をして先へ行ってしまう銀八に追い付くとその手を掴んだ。







『私も夏は嫌い』






ボソリと言葉を零すAに銀八は足を止めて彼女を見遣った。







「初耳」




『初めて言ったからね』







理由は聞けなかった。




ただでさえ外の気温は暑いというのに、繋がられた手にじんわり熱が篭っていったが離そうとはしなかった。







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作者名:アカツキ | 作成日時:2024年1月14日 0時

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