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太陽の暑さがアスファルトをジリジリと照らし猛暑を作り出していた。
耳には喧しいくらいの蝉の声。
「はぁ...」
銀八は思わず溜息を吐いた。
『無理して着いて来なくても良かったのに』
『何処かカフェでも入ろうか』
夏休みに入って、Aの故郷へとやってきた。
目の前には大きな墓石。
Aは熱心に手を合わせていたが銀八の溜息に顔を上げた。
その額には汗が滲んでいる。
「無理なんてしてねぇよ、付いて行くって言ったの俺だし」
「でも店に行くのは賛成」
Aの両親は昔に亡くなったと言う。
銀八はバケツと柄杓を片付けた。
振り返ると彼女は未だ両親の墓石を見詰めていた。
「A」
名前を呼べば此方に向き直り駆け寄ってる。
『ごめんごめん、行こっか』
Aはそう言うと銀八の手握り引っ張るように歩き出した。
.
.
.
『「っはぁ〜涼し〜」』
近くのカフェにはまぁまぁの集客があり店内は賑わっていた。
こうも暑いと室内へ逃げたくもなるし、冷たい珈琲だって飲みたくなるのも無理は無い。
案内された席へと座り早速メニューを開いた。
「お、期間限定パフェあんじゃん」
「Aはどうする?」
返答は無い。
変に思いメニューから顔を上げAを見ると、彼女はボーッと窓の外を眺めていた。
「おーい、Aちゃーん?」
『え、あっ、なに?』
「何って...、Aは何にする?」
『アイスティーにしようかな』
「それだけ? 何も食べないの?」
銀八の質問にAはぱらぱらとメニューを捲り見たが『うん、いい』と言った。
「...んじゃ、俺これにするけど、分けてあげるから少し食べな」
『良いのに』
「あのね、こんな暑い日に何も食わずじゃ倒れるよ? 少しでもいいから食べなさい」
『先生みたい』
「"みたい"じゃなくて、"先生"だからね」
Aは小さく笑ったがまた窓の外を眺めるのだった。
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作者名：ｱｶﾂｷ
| 作成日時：2024年1月14日 0時
