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『ただいま』
「え"、A、ちゃん…?」
『あ、銀八、具合どう?』
「えっ、あ、ちょっと待ってちょっと待って」
帰ってきた彼女を玄関で迎えた銀八はその姿にギョッとし言葉を失った。
隣には高杉の姿もある。
『そこで晋助に会ったの、これからご飯の準備するね』
しかしAは銀八の動揺など何処吹く風で、靴を脱いで整えるとスタスタと家の中へと入って行く。
呆然と立ち尽くしす銀八に高杉までも無言で横を通り過ぎた。
『辰馬、辰馬、起きて』
「んぉ? ...おぉッ、A!こりゃまた随分バッサリ行ったのぉ!」
『似合う?』
「うんうん似合っちょる似合っちょる!」
坂本の言葉にAは満足そうに微笑み振り返る。
『どう? 似合ってる?』
今度は銀八に同じ質問をした。
言葉を、何か言いたいのに言葉が出ない。
10�儖幣紊魯�ットされたであろう髪。
見慣れない彼女の姿に パクパクと口だけが動く。
「な…ｯ、え、ぁ......」
痺れを切らして声を出したのは高杉だった。
「失恋か?」
「巫山戯んな高杉!! 失恋だったら俺は此処に居ねぇよ!!」
『だって、「高杉くらいショートの子が好き〜」って言ったんでしょう?』
「は? 俺の名前出すんじゃねぇよ気持ち悪ィ」
「めちゃくちゃ言うじゃん!!」
Aの前でそんな事言うはずない。
彼女は綺麗な黒髪ロングなのだ。
だとすれば...、
銀八はバッと坂本に顔を向けた。
「バッチリ言うとったぜよ〜」
此奴......ｯ
深い深い溜息と共に手のひらで顔を覆った。
頭が痛いのは酒だけのせいじゃ無さそうだ。
『「似合ってる」って一言、』
『たった一言言ってくれるだけで良いのに』
その声に顔を上げた。
目の前の彼女は少し困ったような...、寂しそうな表情を見せ、逃げるようにキッチンへと向かおうとする。
「ちょっ、、、と待って」
それをすかさず阻止し、Aの両肩を掴む。
「はぁ、あのね、Aちゃん」
「俺はAならどんな髪型だって好きだよ」
真っ直ぐ、目を見てそう言った。
驚いた顔をしたAは少し笑う。
ほんのり頬を赤く染め、そして再び聞くのだ。
『似合ってる?』
銀八の答えなど、聞かずとも......である。
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作者名：ｱｶﾂｷ
| 作成日時：2024年1月14日 0時
