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13. ページ14

「ぎんちゃん! 次これ!!」

「まだやんのかよ…ちょっと休ませて…」

「だめ! 早くやってヨ!!」



白いシャツを腕まくりし、額に汗を浮かべる銀八はハァハァと息を切らしていた。
それもそうだろう、先ほどから体力お化けの女の子・神楽の遊び相手になっているのだから。



『神楽、水分も摂りなね』

「ありがとうアル」

『汗でビショビショじゃん』




Aから受け取ったペットボトルを両手で掴み飲む神楽の喉からはゴクゴクと良い喉越しの音が聞こえる。
汗で肌にくっ付いた髪をAがそっと手で避ける。




『銀八も飲みな?』

「おー…」

『お疲れだね』

「いや、まじヤバい、子供ってこんなパワフルだっけ」

『いつも相手にしてるのは高校生だもんね…』




所謂ヤンキー座りで項垂れる銀八は大きな溜息を吐き出した。
此処は団地の直ぐ裏にある公園で、近所の人たちの憩いの場でもある。




「A、バトンタッチしねぇ?」
「俺は少し休憩…」


「銀ちゃん!」
「休憩終わりアル!! 早くするヨロシ!」


「まじか…」
「神楽お前… 大人の体力舐めんな…」



銀八はチラとAの方を見たが、彼女はニコニコと笑うのみで変わってくれそうにはない。
再び大きな溜息を吐いては重い腰を上げるのだった。



.


.


.




『神楽〜、迎えが来たよ』


「まだ遊ぶ!!」




そう叫ぶ神楽に、Aはやれやれ、と肩を竦めるジェスチャーをする。
Aの隣には神楽を迎えに来た兄の神威が居た。



「ん? A、煙草吸った?」

『バレた? 銀八には内緒ね』

「Aも吸ったりするんだ」

『口寂しい時にね』



遠くで銀八が神楽を小脇に抱えAの元へと戻ってきた。




「ほら、迎えだってよ」

「いやアル〜! まだ帰りたく無いアル!」




「何言ってんの、ほら帰るよ」

「今日からAの子供になるネ! だから帰らないヨ!」




なんて事を言い出すのだろう。



Aは驚いた後、困った顔をした。
銀八が抱き抱えていた神楽を地面に下ろすと彼女は神楽と同じ目線になるように真っ直ぐ向き合って口を開く。




『またいつでも会えるよ』
『神楽の家族は他に居るでしょう?』




Aの言葉に神楽はグッと言葉を詰まらせる。




「帰るよ」




見兼ねた神威が神楽に手を差し出すと神楽は大人しくその手を掴んだ。




「神楽、またな」




銀八の大きな手が神楽の頭を撫でた。
神楽は一つ頷くと神威と共に帰っていった。




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作者名:アカツキ | 作成日時:2024年1月14日 0時

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