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「銀八に彼女が居る」という噂は瞬く間に校内に広がり、その話題は学年関係なく持ちきりだった。
「はぁーーー…」
「大変だな」
「何奴も此奴も他人の恋愛話の何がそんなに面白いかね」
「「銀八」だから面白ェんだろ」
「何? もしかして高杉はこの状況楽しんでる?」
「ククッ」
「Aも目立つからな」
「ヅラ〜、彼奴は先生の彼女だかんな?」
「ヅラじゃない桂だ。心配しなくても俺は人妻が好きだ」
「それ他の先生の前で言うなよ? 卒倒すっから」
屋上で項垂れ愚痴を零す銀八の話を聞くのは高杉と、同じく道場からの知り合いで高杉の同級である桂小太郎だった。
「今までAが学校に来ることなんか無かったのになァ?」
「弁当を届けに来てくれたのだろう? よっぽど自信作だったんじゃないか?」
「元はと言えば銀八が忘れたのがいけねぇだろうが」
「それもそうだ」
気づけば生徒である二人に総責めにされ、銀八のライフは真っ赤である。
「…そんなAから高杉の弁当預かってるけど、そんなに言われると渡したくなくなるわ」
「…!! 寄越せ」
「「寄越せ」だァ〜〜〜? 「ください」だろうが」
ぎゃーぎゃーと言い合ってる横で、桂の「うん、美味い」という声が聞こえ、二人は思わず横を見る。
そこには銀八が隠し持ってたであろう、Aお手製の弁当箱がありおかずの一つを口に入れていた。
「「ヅラ!! 手前ェ!!」」
銀八と高杉の声が見事にハモった。
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作者名:アカツキ | 作成日時:2024年1月14日 0時