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33. ページ34

 
 


包丁がまな板に当たる音がリズム良く聞こえる。
次第に漂ってくる食用を唆る香りに銀時はゆっくりと覚醒していった。
 
 




「おー… はよ、早いな?」
 
 



『おはよ、目が覚めちゃって』
 
 




台所で朝御飯の支度をするAは銀時の挨拶に振り向く事無く慣れた様子で返事を返した。
 
 


銀時はAの背後に近付いて行きそのまま抱き着くように彼女の背中に伸し掛る。
Aの首元に顔を埋めれば今度は彼女の香りを感じてほっとする。
 
 
 



『ちょっ、と…!! 危ないよ』

「んー…、」

『銀時?』
 
 





どうも様子の可笑しい銀時に、Aは包丁を置き、首元に顔を乗せてる銀時を覗き込む。
 
 
 





『......もしかして具合悪い?』

「そんな事無い」

『本当に?』

「風邪引くなんてベタベタな展開、やりきってるんだよ」

『何? メタ発言?』
 
 






そうは言うが、こういう時の銀時は大体、体調が優れない場合が多い。
Aは彼を半回転させ背中を押す。
台所から押し出される銀時はそのまま布団が敷きっぱなしの寝室へと連れられた。
 
 
 





「...これはAちゃんからのお誘い?ってとって良い?」

『馬鹿言ってないの、ほら横になってて』

「冗談じゃないんだけどなぁ...」
 
 







すっかり布団へとリターンされた銀時は口を尖らせ、ぶつぶつと文句を言っている。
Aはそんな言葉を華麗にシカトし丁寧に掛け布団を彼の体に掛けた。
 
 



 


『食欲は? おかゆでも作ろうか?』
 
 




 

いつにも増して優しい彼女に銀時はもう何も言わない。
ただ子供みたいに一つ頷いた。
銀時の額に触れ、微笑むAはまるで母親か。
 
 
 





『後で持ってくるね』
 
 
 





スッと立ち上がって部屋を出て行くAの後ろ姿を見ていたが無情にも戸は閉じられた。
薄暗い部屋の中、銀時はまたゆっくりと眠りの世界へと落ちるのだった。


 
 





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アカツキ(プロフ) - 〇〇さん» 初めまして、コメント有難うございます。そのように言って頂けて嬉しいです。パスワードの件ですが、現在全ての作品に置いて鍵の掛かっている作品は非公開とさせて頂いています。公開の予定もパスワードをお教えする事も出来ません。申し訳ありません (4月14日 9時) (レス) id: 7588857b81 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - すごくよかったです 読んでてドキドキしてなんかもう最高でした!! あの質問なんですけどパスワードがかかってる小説あるじゃないですか、その、パスワードって教えていただけますか? (4月14日 7時) (レス) @page44 id: 6c4944cbd5 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 蘆花さん» 初めまして、コメント有難うございます。既に完結の目処も立っておりますので最後まで楽しんで下さると嬉しいです (2023年3月28日 12時) (レス) id: 59cea801ed (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - やだステキ応援してます! (2023年3月28日 12時) (レス) @page11 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 東雲さん» コメントありがとうございます。出会いについてはこれから少しだけ書けたらなと思っておりますので楽しみにして下さると嬉しいです (2023年3月27日 19時) (レス) id: 61673d253f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年3月25日 20時

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