46. ページ47
「な、んで…」
動揺で掠れた声を出す土方に銀時は深い溜息を吐いた。
しかしそれは呆れでも、怒りでもない溜息。
「悪かったな、「お前じゃ救えない」なんて言って」
「……俺は」
「お前はちゃんとAを好きだった」
そうでなければ百合の花は咲かない。
百合の花は咲いてるのに肝心のAが居ない。
「Aは…ッ」
銀時は首を振る。
「ムカつくくらい綺麗だよなぁ...」
ぽつりと呟き、そして寂しそうに笑うのだ。
土方は乱雑に靴を脱ぎ捨て、ふらふらと家の中へ入る。
部屋の真ん中にぽつりと咲いた百合の花はお洒落な籠の中に挿さっていた。
「"ユリカゴ"だとさ」
「…ユリカゴ…?」
「最後の花が咲いた時にその籠に入れるって」
まるで新しい生命が誕生した時、大切に籠に入れられるみたいに。
土方は呼吸の仕方を忘れ、鼓動だけが波打つのを感じていた。
「泣いてんの?」
その問いにハッと現実へと引き戻される。
「…違ェよ、.........花粉だ」
これだけ花が咲けば目も痒くなるし、鼻もムズムズしてくるだろう。
「(好きだ、…好きだったんだ)」
彼女に届かない告白は言葉に出すことは出来そうにない。
今までも、今も。
そしてこれからも。
---
140人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アカツキ(プロフ) - 美姫さん» コメント有難うございます。登場キャラの想いが交差してぐちゃぐちゃに絡まるような、そんなお話にしたかったのですが難しかったです... 最後まで読んでくださり有難うございました (2023年2月12日 10時) (レス) id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 切なくて切なくて、でもとても美しい作品で、涙が止まりませんでした。本当に最高の作品でした。ありがとうございました。 (2023年2月12日 7時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - おひなさん» 初めまして。コメント有難うございます。土方さん落ちは久々だったのでこれで良いのか迷走しましたが、おひなさんの暖かい言葉に救われました (2023年2月9日 7時) (レス) @page49 id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 最っ高な作品をありがとうございました!終始涙腺崩壊でした!w (2023年2月9日 2時) (レス) @page49 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アカツキ | 作成日時:2022年12月27日 23時