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暗く、細い路地。
Aはその場にしゃがみこみ口を手で覆うように抑えていた。
『ぅ"、ぉ、え......』
花が口から溢れて止まらない。
こんなこと今迄無かったのに...、それどころか周期が短くなってる気もする。
手の中でいっぱいになる花弁が指の隙間から一枚、また一枚と地面に落ちた。
「A、」
少しだけ息切れしている土方はそっとAの傍に寄り、片膝を立てて隣に座る。
そして地面に落ちた花に手を伸ばした。
『それに触らないで!!』
Aにしては大きな声だったと思う。
土方は驚き、一瞬手を止めたがまた直ぐにいつもの冷静な表情に戻り一枚の花弁を拾った。
「...こりゃ花吐き病だろ、大丈夫だ、俺は予防接種してる」
そうだろうとも。
公務員の、ましてや武装警察である真選組が対策してない訳が無い。
それでもAが漸く絞り出した言葉は『汚いから』だった。
「汚くなんかねぇよ、綺麗な花じゃねぇか」
「…って言っても病なんだからそんなこと言われて困るよな…悪ィ」
吐き気で乱れた呼吸を整え、そんな彼の優しさに少しだけ気持ちが楽になった気がしたがそれも気休めにしかならない。
『...、......ぅ"、、』
「気が済むまで吐き出しちまえ」
この花が綺麗に見えるなら、どんなに良かっただろうか。
少しだけ土方が羨ましくなった。
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アカツキ(プロフ) - 美姫さん» コメント有難うございます。登場キャラの想いが交差してぐちゃぐちゃに絡まるような、そんなお話にしたかったのですが難しかったです... 最後まで読んでくださり有難うございました (2023年2月12日 10時) (レス) id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - 切なくて切なくて、でもとても美しい作品で、涙が止まりませんでした。本当に最高の作品でした。ありがとうございました。 (2023年2月12日 7時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - おひなさん» 初めまして。コメント有難うございます。土方さん落ちは久々だったのでこれで良いのか迷走しましたが、おひなさんの暖かい言葉に救われました (2023年2月9日 7時) (レス) @page49 id: 359e2a8a6b (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 最っ高な作品をありがとうございました!終始涙腺崩壊でした!w (2023年2月9日 2時) (レス) @page49 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2022年12月27日 23時