【銀魂】その男、獣につき

12. ページ13

　
　
　
　
　
　
　


その日は朝からとても良い天気だった。
良い天気のはずだった......。



　




『凄い雨......』


　
　
　




ザァーーーーーッ!!、と勢いよく降り注ぐ雨はアスファルトを叩き付け大きな水溜まりを作っていった。


通り雨なら良かったのだが、待てど待てど一向に止みそうにない。


　
　
　





『困った』


　
　
　
　




Aは屋根のある所で一人佇んだ。


　
　
　





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「おい、Aは」

「あれ? まだ帰ってきてませんか?」

「見当たらねェ...、こんな雨だってのにまだ外に居るのか」


　
　
　
　





余程心配なのだろう、土方にしては落ち着き無い。
そしてそれは段々と苛立ちに変わる。


山崎は知っていた。
こういう時、格好の的になるのは己であると。



　
　
　




「み、見回りの隊士に連絡しましょうか...?」





　
　
　



そんな提案も土方は尽く断った。
彼女が真選組の、...そして土方の嫁である事は他言無用であり、わざわざ隊士が迎えに行くと言うのは其れを公表しているようなものだ。



　
　
　
　



「暗くなる前に帰ってくると良いんですけどね...」

「...煙草買ってくる」

「迎えに行くんですか?」

「煙草だっつってんだろ」




　
　
　



こんな雨なのに、と自分で言ってた癖にと思うが口に出そうものなら余計に苛立たせるだけだろうと山崎は黙った。


　
　
　
　
　





「(Aさんに言われて本数減らしてるからまだ買う必要ない癖に)」

　
　
　







音だけでも分かる、強い雨足。
これでは買った煙草も湿気ってしまいそうだ。









　
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