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「うっわなんやこれ! どうせ腹ん中入ってまうのに!」



出てきたオムライスを見て、治くんは驚いた顔をした。

治くんのその言葉はちょっとお店の中で言っちゃいけないような気もするけれど、私も実物を前にして今かなり驚いている。

綺麗な皿に盛りつけられて山の形に高くそびえたつオムライスは、てっぺんに小さなバラの花が刺さっていたのだ。

「ドレスドオムライス」と謳われたそれ。
頂点のバラの花から、まるでドレスのスカートのようにふわりと卵の膜が波打って踊っている。


皿の下の方にはデミグラスソースがたっぷりと盛られていて、てっぺんの赤、スカートの黄色、足元の茶色が綺麗に映えていた。
それからセットでついてきたサラダとスープ。

私はスマホを両手で構えて、色が鮮やかになるフィルターをかけて、その綺麗なオムライスを撮った。


――あ、治くんとこのオムライス、一緒に映した方がいいよね。

だって治くんがTwitterに投稿するいい感じの写真を撮りに来たのだ。



「治くん、こっち向いて」
「おん?」



こっちを向いた治くんは、スマホを向けた私の意図を察してか、それっぽくスプーンを片手に、笑顔を作った。



「はい、チーズ」



私の分のオムライスが映ってしまわないように、彼と彼のオムライスだけを上手にフレームに収めた。まあなかなかに映えているだろう。

治くんの綺麗に整った顔と可愛らしいオムライスがなんだかちょっとミスマッチで面白かったけど、これはこれで人気が出そう、なんて。


私はスマホを伏せて、いただきます、と手を合わせた。
それを見て、治くんもいただきます、と手を合わせる。


ドレスのようなオムライスの足元にあるデミグラスソースをスプーンですくう。

コクのある香りが鼻腔を揺らした。ふわりと肺いっぱいを満たす香りと、舌の上でまろやかに踊るソースの味。

たまらずオムライスの下の方を崩して、卵とチキンライスとを口の中に放り込む。
とろとろと溶けたふわふわの卵はほどよい濃さに味付けされた米と絡み合って、ほどけた。



「おいしい」
「うまいな、これ」



治くんは幸せそうな顔をして、まるでリスみたいにオムライスを頬張っていた。
その姿がいかにも治くんらしくって、私は行儀が悪いと思いながらも、スマホを手に取って、こっそりと写真に収めた。


きっとこれをTwitterに乗せたらファンも増えるだろう。

どうせなら知人にミスターを取ってほしいと思うのは普通だと思うのだ。

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(プロフ) - ネオンガールさん» ありがとうございます!よかったです!!! (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - Blueさん» そう言っていただけるとこちらとしても非常に嬉しいです!最後までお付き合いいただきありがとうございました(;;)次回作も鋭意準備中ですので、楽しみにお待ちいただけたらと思います! (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - 雛さん» めっちゃキュンキュンしました!!笑 (2018年12月24日 12時) (レス) id: 18c4f82065 (このIDを非表示/違反報告)
Blue - この作品のおかげで治くんがめちゃくちゃ好きになりました。作品の完結おめでとうございます!お疲れ様でした!そして、書いて下さりありがとうございました!次回作も楽しみにしています!! (2018年12月24日 1時) (レス) id: 82a4b13a9b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 彩兎さん» コメントと労いのお言葉たいへん嬉しいです。恋愛はもちろんですが、食について掘り下げたお話にしたかったので、少食に共感していただけるとこちらも書いた甲斐があるなと思います。こちらこそ最後までお付き合いいただきありがとうございました! (2018年12月24日 0時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:https://twitter.com/pp__synd  
作成日時:2018年11月4日 17時

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