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ツムさんにあんなことを言われたせいで、私は全然眠れなかった。私が治くんを怒らせたはずなのに、治くんは私を怒らせたと思っているのだろうか。ツムさんの言葉がいつまでも飲み込めない。あの時おかしなことを言った私のせいのはずじゃあないのか。考えれば考えるほど分からなかった。ツムさんに突き付けられた「仲直り」というミッションが、私には無理難題に思えて仕方がない。
「永岡先輩？」
「はい！」
「これ三番テーブルにいいですか」
「ハイいいです！」
ぼうっとしていた。昨日ほど忙しくはないけれど、私たちのカフェはそこそこに繁盛している。浴衣を着て接客にてんてこまいだった。
「疲れた……」
少し客が引いたころ、裏に回ってオーダーミスでふいになったジュースを嚥下する。甘ったるい味に胸の中がざわつく。体の中に蔓延る不安ごとその甘さを吐き出すようにため息をついたら、後輩が顔を覗き込んできた。
「先輩、あの、呼び込みお願いしたいんですけど……」
「そっか、誰か熱出してこれてないんだっけ」
そういえばシフトに穴が開いていた。やたら忙しいと思ったのはそういうことだろうと一人で納得して、手持ち看板を受け取る。
浴衣で構内をぶらぶらするだけでそれなりに客引きはできるだろう。講義棟を出て、テントの間を縫うように歩きながら、ぼんやりと考えた。
治くんと仲直りしろ、というツムさんの難題は、私の気持ち云々でどうにかなるのだろうか。だって私も手伝いでバタバタしているし、治くんだってミスターコンとサークルで忙しいだろう。
私たちが顔を合わせる暇などそもそもない気がするのだ。それともあれは、私たちがお互い忙しいことも込みでの言葉だったのだろうか。
看板を持ったまま、当てもなくふらふらと歩いていたら、仮設ステージが何やら盛り上がり始めているのが見えた。マイクを通したMCの声が響く。何をやっているのだろうかとステージの方に歩き始めて、初めてステージの上に立つ存在に気がつく。
「……治くん」
ステージに並ぶのはミスターとミスの候補者だった。そう言えばもう一度アピールタイムがあるんだっけ。今度は何をやるんだろうと、観客席から少し離れたところでぼんやりと立ち尽してステージの上を見る。
MC二人のよく響く声がマイクを通して私の耳を劈いた。
「方言で告白してみよう！ みたいな企画ですね？」
「そうなんです！ 今年の候補者の皆さんは出身がばらけているんですよ！」
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雛(プロフ) - ネオンガールさん» ありがとうございます！よかったです！！！ (2018年12月24日 18時) (
レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - Blueさん» そう言っていただけるとこちらとしても非常に嬉しいです！最後までお付き合いいただきありがとうございました(；；)次回作も鋭意準備中ですので、楽しみにお待ちいただけたらと思います！ (2018年12月24日 18時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - 雛さん» めっちゃキュンキュンしました！！笑 (2018年12月24日 12時) (レス) id: 18c4f82065 (このIDを非表示/違反報告)
Blue - この作品のおかげで治くんがめちゃくちゃ好きになりました。作品の完結おめでとうございます！お疲れ様でした！そして、書いて下さりありがとうございました！次回作も楽しみにしています！！ (2018年12月24日 1時) (レス) id: 82a4b13a9b (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 彩兎さん» コメントと労いのお言葉たいへん嬉しいです。恋愛はもちろんですが、食について掘り下げたお話にしたかったので、少食に共感していただけるとこちらも書いた甲斐があるなと思います。こちらこそ最後までお付き合いいただきありがとうございました！ (2018年12月24日 0時) (レス) id: 7dd974e27d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作者ホームページ：https://twitter.com/pp__synd
作成日時：2018年11月4日 17時
