【銀魂】高杉さんに閉じ込められた世界でのお話

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「....。」

二杯目を注ぎグラスが桃色で満たされると、それをぐいっと一気飲みする坂田さん。再び空になったガラスを握ったまま、口を開いた。

「そうでもしなきゃお前、あのまま一生牢獄入りだぞ。」

「たとえそうだとしても、坂田さんが責を負う必要のない話です。」

「........まあ、なんだ。昼間も言ったが昔一度会ってんだよ。そのよしみで言ってやっただけだ。」

食い下がる気満々であることを感じ取ってくれたのか、早々に白状した。
多分坂田さんは、この話をあまりしたくないのだろう。無意識のうちに、確信に触れないよう気を這っているように見える。

このまま質問を続けるだけでは、望む答えは得られない。




「―――私、ずっと高杉さんと一緒に居たんです。」




ただゆっくりと、彼の赤い瞳だけがこちらを向いた。



「どうしてそうなったのかも、分りません。けれど、だからこそ、彼の事を知りたいんです。...もし坂田さんがそれを言っているのなら、教えてください！」


部屋に閉じ込められていた事。
突然天人から襲撃を受けた事
そして、真選組に捕えられた事。


持ち得る記憶を簡単に掻い摘んで説明する。
幽閉されていた事を告げた時、坂田さんは形容しがたい表情を浮かべた。口内を噛みしめるみたいな、悔しそうな顔。
薄らと細められたその目には、きっと、私の知らない過去の光景が映っている。


またしても散らかった思考を整理するように、間があいた。


「...俺ァ、お前に謝らなきゃならねぇ。」

「どういう、事ですか。」

「俺とお前が会ったのは攘夷戦争の真っただ中だ。そん時もお前の事は良く知らなかったし、あの状況でお前を信用してやれなかったのは当然だったんだよ。...それだけは言い訳させてくれ。だがな、高杉の奴を止めてやれたかったのは、俺にも非があると思ってる。」


今まで、坂田さんと高杉さんが顔見知りであるという確信はなかった。
時折この人の見せる空気に見覚えがあって、もしかしたらと思っただけ。けれどそれが今、確証となった。




「高杉と交流のあったお前を、スパイとして罰した。奴れい商に引き渡した後に、無実が発覚しちまって。.....それを一番悔やんでんのは間違いなく、高杉だろ。」




坂田さんも、詳細までは知らないようだった。
ただ年頃の男女が周囲の目をかいくぐって密会を重ねるなど、動機は一つしかない。



湾曲してしまった今とはまた違うけれど。
過去の私もまた、彼を求めていたのかもしれない。

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