四十九 ページ2
「いやー最初の保護って名目は何処行っちまったんだか。後から掘り出してきた古い記録繋ぎ合わせたら、やっぱあの女完全に真っ黒だっつー事になったらしくて。あの土方さんが付っきりで尋問中なんでさァ。」
「......おいおい、それ不味いんじゃねーの。」
「だからそう言ってるじゃねぇですかィ。」
はずれの棒を咥えながら、冷淡な声でそう答える。
まるで全くの他人ごと。興味など無いかのように。
だがわざわざ俺に団子奢ってまで話を振ってきたのだ。あの高杉が執着を見せる女となりゃ、さすがのこいつも気になって仕方がないのだろう。
まあ気になる...といえば聊か語弊があるかもしれない。考えても見てほしい、ただ街中で見つけた可愛い女の子にそんな浮ついた感情を持つようなたまか?んなわけがない。
危ない奴が惹かれるには、それなりの理由があって、女だって何かこちら側に足を踏み入れているはずだ。
多分そういう物を本能の様なこいつの勘が、あの女を追え、とでも騒いでいるんだ。
「にしても土方の野郎がつかえねーから、一向に捜査が進まねんでさァ。」
「へー。鬼の副長手こずらせちゃってんの?」
そりゃ相当だな。
テレビを見続けてたら始まったテレビショッピングでも見る的な、心底どうでも良さそうな返事をしてやる。
が、俺だって心中穏やかじゃない。まるで余裕などなく目を血走らせた高杉が、幾度となく脳裏を横切った。助けを乞う女......いや、少女と呼ぶべき年齢だったはずだ。まだ大人になりきれない顔で、必死に高杉を求めるあの目が。忘れられない。
「まあ極度の拷問かけたら簡単に死んじまいそうな感じだったんで、手始めに自白剤打ってみよう話になりやしてね。」
「おいおいおい。これだから野蛮な猿どもはやる事がちげーな。」
「普通に質問しても『わかりません』の一点張りで、どうしようもなかったんでィ。」
ふらふらと当てもなく道を進みながら、次々にアイスの封を切っていくそいつに目線をやる。
息をするよりもポーカーフェイスの上手い奴の表情からは、何もわからなかった。
「まあそういうことなんで、手伝って下せェよ旦那。」
「ざけんな。がりがいくん奢ったろ?」
「そりゃ前金みたいなもんでィ。それにいーんですかィ?旦那、赤の他人ってわけじゃねーんでしょ?...つか俺に出きる事なんで何もねぇよ。」
「無かったら声なんてかけやせんよ。」
面倒事に自ら飛び込んでいくようなもんだが、今回はまあ、致し方ないだろう。
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★九尾★(プロフ) - 面白いです!めっちゃ楽しんで読ませてもらってます!更新頑張ってください! (2018年10月18日 23時) (レス) id: 0ceb133c1e (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - 鷹さん» お読み頂きありがとうございます!他ジャンルの方からもそのように言っていただけてとても嬉しいです!今後もよろしくおねがいします! (2017年10月5日 7時) (レス) id: 0cde9ce314 (このIDを非表示/違反報告)
鷹(プロフ) - 普段銀魂の作品をあまり読まない者ですが…とても面白くて一気に読んでしまいました!今後も楽しみにしております! (2017年8月31日 0時) (レス) id: fec64aa2a0 (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - あやかさん» ご感想いただけてうれしいです!コメントありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします!! (2017年8月5日 12時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
しののめ(プロフ) - なるぽんずさん» ほんとうですか...!!ありがとうございます!この後、徐々に明らかにしていきたいなと思っておりますので。今後もお付き合いいただければと思います! (2017年8月5日 12時) (レス) id: 5bb7c4f37e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しののめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時:2017年7月22日 2時