05.雨とチャリと事故 ページ5
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キョロキョロと辺りを見渡すと、お誂え向きに謎の小屋のようなものが田んぼ道の脇に建てられている。
思わず小走りでそこへと走り込むと、直ぐに雨足がサアサアからザアザアへと変わってきた。
｢ど〜しよ｣
ジャバジャバと屋根に雨が当たる音を聞きながら、小屋の中に置いてあった狐のお地蔵様みたいなものに手を這わす。
いつもだったら絶対触らないけど、この小屋は狭いし仕方ない。
｢……ついてないなあ｣
思わずそう呟くと、道の反対側からこの豪雨の中爆速で駆けてくる自転車の姿が視界の端に映りこんだ。
こんな雨の中チャリかよ……と思わずツッコみつつ、雨でよく見えないその自転車の主の顔に目を凝らすと、どうやら男の人っぽかった。しかも、多分同世代くらい。学ランだし。
あ、道聞いてもいいかな。
咄嗟に思いついた。だってこんな田舎道じゃ次に人が現れるのは何時になるのかわからないし。
爆速で近づくチャリは、すぐにでも私の横を通り過ぎそうな感じで思わず焦る。
｢すみません！｣と声を張ってみたけど、案の定チャリは物凄いスピードで私の目の前を通り過ぎた。
｢すみません！！！！！｣
こんな大声出したことないってくらいのクソデカボイスでチャリに乗った背中に声を掛けると、バッとその頭だけが此方を振り返った。
あ、驚いてる。
まあ、驚きもするだろう。雨の中、変な小屋から見知らぬ女が大声で自分のことを呼び止めれば。私だったら悲鳴でも上げそうだ。
ギョッとした表情の学ラン男子は次の瞬間には思いっきりブレーキを掴んだのか、ジャジャジャジャッと車輪で砂利道を滑り、滑って……そのまま道の真ん中で盛大に転んだ。
｢あっ！ すみません！ 急に呼び止めて！｣
ぐっちゃぐちゃの地面に倒れ込んだ男子はドロドロの学ランもそのままにゆっくりと起き上がる。痛そう。マジでごめんなさい。
｢……びっくりした｣
｢あー！ 本当にすみません！｣
｢いや、大丈夫です。人が居るとは思わなくて｣
思わないですよね〜。と私は内心そう返事をしつつ、ずぶ濡れの男子のチャリを起こす。
顔を上げた男子と目が合った。うわあ、顔がいい。
｢……人間？｣
｢え？｣
｢あ、いや、なんでも。外の人ですか？｣
｢あ、そうです。というか引越してきて。その、村役場ってとこ探してて｣
｢村役場？ 全然方向が違う……｣
｢エッ？！｣
方向が違うと言われても、ここでは四方八方が山すぎて自分がどっちに進んでいるのかも定かではない。
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sai(プロフ) - fanさん» コメントありがとうございます 文脈とかはあんまり考えてないんですけど、読みやすかったら何よりです^^* 楽しんでください〜 (2020年2月29日 13時) (
レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
fan(プロフ) - コメント失礼します。まだ数話しか読んでいないのですがとても文脈がしっかりしていて読みやすく楽しい作品だなと思いました。 (2020年2月27日 16時) (レス) id: b1b69e3863 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - カナタさん» 番シリーズから！ありがとうございます！ 今回も全員総出演で不穏面白く書きたいと思いますー 完結まで楽しんでください〜 (2020年2月14日 21時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - はじめましてです^^ 番シリーズから飛ばせていただきました！題名から田舎でのんびり系かと思いきやファンタジーな内容にハラハラしながら読ませていただきました！ま未だ出ていないメンバーもいまし今後も更新楽しみにお待ちしてます！ (2020年2月14日 2時) (レス) id: 684671b8cd (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - はじめましてさん» こちらこそありがとうございます〜 ほんと好きなように書いてるんで、好みに合って嬉しいです^^ これからも好きに書くので、気が向いたら読んでやってください！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2020年2月5日 13時
