19.田舎のルール ページ19
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次の日、私は朝からブラウスをアイロンがけして袖を通した。
もうあのマリンのワンピースは着ない。ちょっと高かったけど。
支度をしてご飯を食べる時も、祖父や大叔母は何も言わなかった。相変わらずの無関心。
この人たちが何を考えているのかは全然分からない。
でも、昨日それどころじゃない事態に遭った私にはどうでも良かった。
ササッと鞄を携えて家を出る。
ダラダラと相変わらずの何にもない田園風景を見ながら登校していると、後ろを爆速のチャリが通り過ぎて行って、そして勢いよく止まった。
｢おはよ、ジョングクくん｣
｢A先輩、おはようございます｣
ちょっと戸惑った顔をしているジョングクくんに｢一緒に行こうよ｣と声を掛けると、ゆっくりと自転車を降りてくれた。
｢昨日、大丈夫でしたか？｣
｢ちょっとバレそうだったけど、多分大丈夫｣
｢あ、そっちじゃなくて……｣
言い淀むジョングクくん。何かを黙っているんだろうということは何となく察することが出来た。
｢すみません｣
｢……えっと、何がすみませんなの？｣
｢色々と。俺が気づいていれば話せたこともあるし、でも、話せないことも多いんです｣
｢話せないこと？｣
｢この村では、神様の意思に従わなければいけないんです。そういうしきたりがあって｣
｢ジョングクくんは何かを知ってるの？｣
私の問いに、ジョングクくんは俯いた。
｢いや。俺はまだ成人してないから、詳しいことは教わらないんですけど……A先輩が関わってるってことは分かります｣
｢私、生贄なんだって言われたんだけど、心当たりとか、ない？｣
｢……わかりません。話せない、じゃなくて｣
途方に暮れたような声でジョングクくんがそう言うので、私の方が申し訳ない気持ちになってきた。
村と神様としきたり、なんて現代では中々出てこなさそうな単語だけど、多分これはジョングクくん達真加部村の人間達の日常なんだ。
｢ジミンさん裏切って、ユンギさんに聞いてみた方が良かったかなあ｣と呟くと、ジョングクくんはギョッとした顔で私を見た。
｢そんなことしたら、神様に祟られますよ？｣
｢祟られるの？！｣
具体的なことはよく分からないけど、思いっきり不穏な雰囲気のある単語だ。
｢A先輩は大丈夫かもしれないけど、祟りの単位は家ですから｣
｢物騒だね｣
｢……そういう村なんです｣
またしょんぼりとした顔をするジョングクくん。
私は胸の奥がギュッとした。多分、この顔に弱い。
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sai(プロフ) - fanさん» コメントありがとうございます 文脈とかはあんまり考えてないんですけど、読みやすかったら何よりです^^* 楽しんでください〜 (2020年2月29日 13時) (
レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
fan(プロフ) - コメント失礼します。まだ数話しか読んでいないのですがとても文脈がしっかりしていて読みやすく楽しい作品だなと思いました。 (2020年2月27日 16時) (レス) id: b1b69e3863 (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - カナタさん» 番シリーズから！ありがとうございます！ 今回も全員総出演で不穏面白く書きたいと思いますー 完結まで楽しんでください〜 (2020年2月14日 21時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - はじめましてです^^ 番シリーズから飛ばせていただきました！題名から田舎でのんびり系かと思いきやファンタジーな内容にハラハラしながら読ませていただきました！ま未だ出ていないメンバーもいまし今後も更新楽しみにお待ちしてます！ (2020年2月14日 2時) (レス) id: 684671b8cd (このIDを非表示/違反報告)
sai(プロフ) - はじめましてさん» こちらこそありがとうございます〜 ほんと好きなように書いてるんで、好みに合って嬉しいです^^ これからも好きに書くので、気が向いたら読んでやってください！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: 00e0a369b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sai
| 作者ホームページ：https://twitter.com/xxx___sai/
作成日時：2020年2月5日 13時
